LOOPER/ルーパー

【監督】ライアン・ジョンソン
【出演】ブルース・ウィリス/ジョセフ・ゴードン=レビット/エミリー・ブラント/ポール・ダノ/ノア・セガン/ジェフ・ダニエルズ
【公開日】2013年 1月12日
【製作】アメリカ
【ストーリー】
近未来。タイムマシンは開発されていたが、その使用は禁じられ、犯罪組織のみが悪用していた。彼らは証拠を残さず消し去りたいとき、ルーパーと呼ばれる暗殺者がいる30年前へと転送する。そして凄腕ルーパー、ジョーの元にターゲットの暗殺指令が入る。それはいつも通りの単純な仕事のはずだった。・・だが、送られてきたのは30年後の自分だった・・・。
あのイケメンのゴードンが30年後にはあんなに頭が後退してるのかぁ・・と、最初はそんな表面的な情報に苦笑いしつつ興味を抱いた作品なのですが、幾重にも張った伏線を上手く繋ぎ合わせている展開の面白さには結構唸ってしまい、正直自分のファーストインプレッションなどはひどくどうでも良くなってしまった^^;若手のゴードンvs熟練のウィリスという新旧俳優対決も非常に華があり、今年最初の劇場鑑賞としても申し分ない良作だったと思います。
しかしこういったタイムトラベルを扱った作品なんかにも頻繁に出て来るタイムマシンの存在は過去にも車型だったりドラム式洗濯機だったりと多岐に渡っていれば用途も様々でしたけど、本作のタイムマシンもなかなかに独特ですね。それはデザインよりも使用方法の辺りであって、未来の犯罪組織が始末したい人間を30年前に送り込んでルーパーなる処刑人に始末させるという、裏稼業の道具として悪用されている点などにどこか今までにない新鮮さも感じてしまった訳で・・^^;。またその処刑人であるルーパーの仕組みなどもタイムマシン様々な稼業で、報酬と共に未来から送られてくる標的をただただ待って、空間からパッと標的が出て来たらすかさずズドンと撃ち殺すだけと言うなんとも楽な商売かと思いきや、万が一標的を逃したら逆にルーパーが監視役に殺され、更に未来の自分が送り込まれた時点で余命30年の確定宣告も受けてしまうというのだから、シビアでハイリスクなものにも見えてしまいます。
ブルース・ウィリスが扮するオールド・ジョーが登場してヤング・ジョーと本格的に対立するまではこういった概要を理解することだけに徹してた感じがあったのですが、ただこれら設定の説明や2040年代と2070年代の世界情勢諸々、あと冒頭に出て来るルーパーが標的を処刑する場面など、何かと驚きな光景が目の前に飛び込んで来ては呆気に取られたりもしてたので、個人的にはお目当てのウィリスの出番が遅くとも場は持っていたようにも思えますね(笑
でもそのオールド・ジョーが出たら出たで過去と未来の自分自身対決!・・という一風変わったSFアクションになるような事も想像していた分、未来の犯罪王探しに移行するサスペンス調になってたのは予想とは少々違ってたものの、それでもこれはこれでサラとシドの親子の絡みや謎もはらんでて見応えがありましたし、終盤のヤング・ジョーの咄嗟の判断などにしても某ゲームのキャッチコピーを拝借するならば、正に『最後の一撃は、切ない』がしっくりときてしまうほどっ(ToT)。ジョーも悪魔の子だとは分かってても、変わった未来への可能性に賭けたんでしょうねぇ・・。悪人って呼ばれる人はやはり元からそうではなくて、周囲の環境や出来事によって悪という概念が形成されるらしいですから(『悪人大辞典』より抜粋)、シドの将来は不安もあるけどヤング・ジョーのおかげでちょっと希望が残るラストでもありましたね。
・・ただ正直観てる最中は突然現れたとかいう能力者の事など、詳細がぞんざいだった部分も無きにしも非ずでしたが、逆を言えば無理に突っ込んだ部分まで開示せず、最低限知り得るべき情報でこれだけ面白い作品に仕上げる事が出来たという作品の形作りに関して言えばお見事と言うべき所でしょうか?映像を直接観て知るのも良いですけど、たまには脳内フル活用して不足な情報は想像や予測で補いながら鑑賞すると言うのも悪くはないかな?とも思ったのでした。