皇帝ペンギン(評価:☆)

【監督】リュック・ジャケ
【声の出演】ロマーヌ・ボーランジェ/シャルル・ベルリング/ジュール・シトリュック
【公開日】2005/7.16
【製作】フランス
【ストーリー】
100万年の氷で覆われた南極大陸。胸を黄金色に輝かせ、2本足で数千の皇帝ペンギンが行進して来る。身長120センチ、どこか人間にも似た、ユーモラスな皇帝ペンギン。ある日、1組の皇帝ペンギンの夫妻が1つの卵を生んだ。卵を温める父親ペンギンは寒さの中仲間と円陣を組み120日間何も食べずに必死に卵を守る。一方母親ペンギンももうじき生まれてくるヒナの為、命懸けで餌を取りに遠い海へと旅立つ・・・
【コメント】
2ヶ月強も待たされてやっとの鑑賞です。単館・指定席制じゃないもので、劇場が開いた瞬間、皆さん良い席で観たいが為なのか我先にと飛び込んでいきました・・出だしが遅れた自分は実に1年以上ぶりにかなりの前座席でスクリーンを見上げるような鑑賞となり、首がかなり痛かったです・・(・ロ・;)(グオォォオ・・・
南極大陸と言う過酷な環境の中で、皇帝ペンギンが種の存続の為自然界の厳しい猛威に耐え抜きながらも、ただひたすらに命がけで子を育てる。
そのひたむきさと、命を育む事の大切さを教えてくれる非常に胸を打たれる映画でした♪
この映画を観るまでペンギンの生態系自体、自分もあまり詳しい事は分からず、ペンギン目ペンギン科に属する鳥類だって事くらいの知識位なものであって、こんな事ならもっと前からみのさんの『動物奇想天外』でも見ておくべきだったと思っています(^▽^;)(笑
『ディープブルー』や『WATARIDORI』のように、ドキュメンタリー風ながら、一組の皇帝ペンギンの夫妻の子育てを描くなどドラマ仕立てな感覚にもさせていますが、特に理解に苦しみようなものでもなく、逆に感情移入も出来る個所もあったりとかなり見応えがありました。
また、マイナス40℃の中激しいブリザードの中で3ヶ月以上も絶食しながら必死に卵を守り続けるオスの皇帝ペンギン。そして出産後、オスに卵を託し、餌を求め遥か彼方の海まで歩き続けるメスの皇帝ペンギン等、自分が分からなかった彼らのその生態も非常に分かり易く描かれていました。
8000時間以上もの時間をかけただけあって、その辺りは製作陣の意気込みも感じられました。
更に生まれ故郷に赴くまでの皇帝ペンギン達の大行進や、求愛ダンス、海の中を優雅に泳いだり氷の地面をペタリペタリと歩く姿、ヒナの灰色の体毛に覆われた愛くるしい姿といった、皇帝ペンギンの魅力もふんだんに盛り込まれている反面、自然界の脅威や、ヒナが立派に成長するまで一瞬の油断も決して出来ないような正に死と隣り合わせの環境での子育て・・・その厳しさも同様に込められています。
メスが餌を取りに行ってる間、ずっとかかと立ち(?)で卵をお腹に隠して寒さから守る集団のオスの皇帝ペンギン達は特に印象深かったですね。亀の甲羅のようにぎゅうぎゅうと身を寄せ合いながら、寒さとブリザードに耐え続ける姿は『頑張れ!』と言いたくなってしまいます。
自分のトコの地元では吹き替え版のみの上映だったのですが、声を担当していた大沢たかお、石田ひかり、そしてヒナの声を担当した神木隆之介君も中々合ってて良かったです。
石田ひかりは母性本能が溢れているようなゆったりとした口調が良くて、『母親』と言う感じが凄く出てた♪
でも欲を言えばドキュメンタリー風の映画は字幕で観たい所なんですよね・・・ちょっと残念です。
残念と言えば、この映画は来年のアカデミー賞の外国語映画賞の仏代表としてノミネートされてもおかしくなかったのに、急遽別な作品がノミネートされる事になったとか・・
この決定に共同プロデューサーらは遺憾の意を表しているそうですが、自分もこれは本当に残念に思います。
『皇帝ペンギン』公式サイト