ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

【総監督】庵野秀明
【監督】摩砂雪/前田真宏/鶴巻和哉
【出演】緒方恵美/林原めぐみ/宮村優子/石田彰/三石琴乃/立木文彦/山口由里子/清川元夢/坂本真綾/長沢美樹/子安武人/優希比呂/沢城みゆき/大塚明夫/大原さやか/勝杏里/伊瀬茉莉也
【公開日】2012年 11月17日
【製作】日本
【ストーリー】
エヴァ改弐号機と8号機は大気圏外でNERVが封印していた初号機の奪還に成功。一方、綾波レイを助けようと行動する過程で意識を失っていた碇シンジは、見知らぬ場所で目覚める。しかし、そこはシンジにとって予想外の状況が目の前に展開されていた・・・。
鑑賞する事前まで本作における自分の情報源が約1分ほどの予告編のみだったため、今回の『Q』の情報はなんだか世間でもネット上でも随分少ないなぁ?というか伏せられてるなぁと感じていたのですが、その理由が始まって数分程のシーンでなんとなく察する事が出来てしまった。まあそれくらい情報云々を狭めでもしなければ、確かに本作は最初から最後まで驚愕できなかったとも思いますねぇ。当初とは若干意味合いの異なる『Q』というタイトルも、ここまで急展開の連続ならば『急』でも全然問題ないのでは?と思えるほどとてもパワーのある内容でした。
そいえば昔・・それこそ旧シリーズの1年前くらい前に出たゲーム作品で、主人公が宇宙漂流をして奇跡的に地球に帰って来たら20年以上も時間が経過していた『ポリスノーツ』というアドベンチャーゲーム(自分がプレイしたのは96年のPS版)があったのですが、冒頭のシンジの境遇は正にソレと似た雰囲気があって、自分のゲーム脳の記憶もふと一緒に呼び起こされてしまいました(笑
前作『破』ではエヴァマーク6が降り立つ非常に気になるシーンで幕引きとなっちゃいましたので、てっきりまた初号機に槍が刺さってのタイムラグ無しスタートも予想してのですが、シンジが目を覚ますと何故か隣には可愛い女の子がいて、見知った人は老け、見知らぬ人が増え、唯一の理解者でもあった大人の女性は『艦長』という肩書きになって巨大な戦艦を指揮し、しかもかつて従事していた職場に反旗を翻していたと来るっ。・・こんな以前とはまるで違う『様変わり』な光景が説明を与える間もなく矢継ぎ早に体験させられてしまうわけですから、まあシンジもそうでしたけど観てた自分も『?』が何個頭に浮かんだか分からなくなりました^^;序・破では再構築された初号機の初暴走だったりマリの鮮烈デヴューというように、自分は最初何かとエヴァ対使徒の激闘が印象に残ってたりするんですけども、今回はやっぱり戸惑いの方が先に来ちゃいましたねぇ。それこそタイトルが表記されるまでの間はまるで『不思議の海のナディア』を観てるかのようでしたし・・。
とは言え、この一連の大変化はその戸惑いが先行したのも確かだけど、やはり同時に圧倒されたのも然りですね。エヴァの世界に巨大戦艦という異色さを持ってくる事自体自分も考えが及ばなかったですし、4部作の劇場版の折り返し地点のような中で更なる新参者を加入させフレッシュさみたいなのを盛り込んできたという点なども踏まえると、前2作以上にインパクトがあるのは当然と言えば当然かも?特にそのインパクト面では個人的にヴンダーの存在感などがなかなかに強烈っ。ミサトの艦長姿にしても凄いカッコ良かったですし、ガンダム作品の方でも別な艦長役がまだ記憶に残ってるせいか、『撃ェーっ!!』なんてセリフもかなり堂に入ってる感じがしました。(ミサトじゃなくて三石さんがねっww)
また『様変わり』な要素は人物等といった目に見えて明らかなものだけでは無く、再構築性がもはや殆ど見受けられないサードインパクト後の崩壊した世界を形作るにおいても際立っており、類似しているのも渚カヲルの結末くらいなものだったので、自分も初見気分で見応えがグンと上がってましたねぇ♪・・・けど、同じ結末故かやはりその後のシンジの転落ぶりも凄まじく、せっかく破で前向きと言いますか内向的な性格から少し男気溢れるものに変わっていく兆候が見られ始めたのに、知らぬ間に大きな罪も背負えば母親の辛い真実も知らされ、そしてトドメはカヲルなわけですから、もう強烈なパンチを食らい過ぎた結果再度塞ぎ込んでしまう辺り、なんか旧シリーズの弐拾四話辺りに戻ってきたような感じがして展開的に少々嫌~な予感がしてきたのは自分だけでしょうかね?^^;
カヲルのこれまでの意味深な発言もループを思わせるような含みを感じられなくは無かったので、そう考えると自分もなんだかネガティブな方向にばかり考えてしまうようになってるんですよねぇ・・。最後久々に揃った3人も見るとお先真っ暗より明るい道を歩んで欲しいとも思わずにはいられませんし、ここから最終的に庵野総監督の真意が『シン・エヴァンゲリオン』とやらでどう描かれるのかも今から気になってしまう所です。
個人的に新劇エヴァには毎回驚かされてはいるものの、今回の『Q』に到っては年月を長大に飛び越えてしまったり『エヴァの呪縛』なる時間の概念或いは人体の成長を無視したような設定も出てきたために、驚愕の度合いは今までの比じゃなかった気もします。自分が抱えてる劇中の様々な謎や疑問の考察をしてる余裕などもあんまり無かったですし、サードインパクトも起こってしまったせいかカヲルとシンジの交流のような安らげる場面や日常的な部分もかなり少なかったので、それが尚更勢いを増してるように見えて、取り敢えず1度目は付いていくのがやっとと言った所。落ち着いた鑑賞も目的にしたリピートは必須かもしれませんね?(汗