ベルセルク 黄金時代篇Ⅱ ドルドレイ攻略

【監督】窪岡俊之
【声の出演】岩永洋昭/櫻井孝宏/行成とあ/寿美菜子/藤原貴弘/松本ヨシロウ/矢尾一樹/豊崎愛生/三宅健太
【公開日】2012年 6月23日
【製作】日本
【ストーリー】
鷹の団に入団して3年、団長グリフィスの夢をともに追ってきたガッツだったが、グリフィスのふとした言葉がきっかけで退団を決意する。一方、ミッドランド王国とチューダー帝国の戦争は最終局面を迎え、鷹の団は5000人の兵力で3万人の敵兵がいる難攻不落のドルドレイ要塞に挑むことになる・・・。
三浦健太郎原作のダークファンタジー『ベルセルク』を全て映像化するというビッグプロジェクトの先駆けとして2月に公開が開始された黄金時代篇三部作。その第一弾である『覇王の卵』が結構良い出来映えだっただけに、待たされた4ヶ月弱を随分と長く感じながらも楽しみにしておりました(先行上映の蜘蛛男よりも楽しみだったかも^^;)。
しかしアニメーションの質や声優さんとキャラの合致性、ストーリー展開など、イチファンゆえにどこか色々と品定めするような感覚もあった前作。結果的にそれらは取り越し苦労な感じでしたけど、その前作以上にハードなバイオレンスやエロスといったベルセルクに欠かせない要素に関しては今回も一切の妥協なしな姿勢でこれは天晴れという他無かった。満足のできる本気のクオリティさも心底楽しめた内容です♪
『覇王の卵』では傭兵だったガッツがグリフィスと出会い、様々な戦いを通して絆を深めていく過程を描いていましたが、今回は鷹の団最大の戦いでもあるドルドレイ城塞の攻略、そしてガッツとグリフィスの別離などが軸となって進んで行きます。
ドルドレイ攻略の激しい攻防戦に、ガッツとグリフィスの訣別によって鷹の団が栄光から破滅へと転換するといった見所がたくさんある所でもあるので、そういう意味でやはり気になったのは前作同様原作の雰囲気を損なっていないか?という既読者としての視点。・・生憎とこの辺は正直変わり過ぎてる場面もあって驚きもあれば『おや?』と疑問に思うとこもあったものの、ただ個人的にそれら全部が『悪い感じ』というものではなかったですね。ドルドレイ戦やガッツとグリフィスの雪原での決闘、シャルロットとグリフィスの官能シーンといった重要な場面と比較しますならば、今回削除(又は割愛)されていたものは回想や口頭での補完、あるいは別に知らなくても本編にあまり影響しないものも多いので逆に上手く編集したなぁ^^;と思えた位ですし、その代わりとばかりに本作の幾つかのシーンにアレンジを加えたりサプライズを入れたりしてるプラスアルファな要素も嬉しかった。黄金時代篇でまさかファルネーゼとセルピコが出るなんて予想外だったので、すっごいチョイ役でも『おっ!』と思いながら身を乗り出しそうになってしまったほどですw
また前半はチューダー帝国との大規模な戦いが大半を占めてましたので、合戦シーンも前作以上に迫力があって非情にカッコイイ♪後に色々と尾ひれが付く事になるガッツの名場面『百人斬り』からして凄まじく、その荒々しいまでのソードアクションはスピード感や敵兵の四肢が惨烈するエグイ描写も手伝ってか原作漫画の方とはまた異なるパワーを感じましたねぇ。ガッツの疲弊と共に周りの音もクリアな感じから一転スモークがかったような細かい演出になるのも妙にリアルで良かったですし。
戦いの山場であるドルドレイ攻略戦もハイブリッドアニメーション様様で、数万人が入り乱れる戦場の情景を時に遠方、そして時に至近距離からとカメラアングルも目まぐるしく変わっていくので臨場感も中々のものっ。このドルドレイ戦では劇中の音楽を手掛けた鷲巣詩朗さん渾身の2000人規模オーケストラも戦場を盛り上げてるので、画と音に魅入られたアニメ作品というのもなんか久々に体験したなぁと思っちゃったのでした。
アニメーションの規制をものともしない過激な表現も然る事ながら、ガッツとグリフィス、そして鷹の団がこれから辿る悲劇の行く末などは、端折り有りとはいえ原作に沿う形を今の所は崩しておらず、丁寧に進行しても行ってるので今回も安心して鑑賞できた気がしますねぇ。
・・そしてここから後は栄光や希望とは程遠い禍々しき『蝕』がいよいよもって降臨。ベヘリットの嘆きと共に映し出されていた完結篇の映像の一端にはこれまた妥協無しの絶望が垣間見え、鑑賞する人達にもまるで『覚悟しとけよ?』と念押ししてるかのようでした(´△`;)