十三人の刺客

【監督】三池崇史
【出演】役所広司/山田孝之/伊勢谷友介/沢村一樹/古田新太/六角精児/石垣佑磨/高岡蒼甫/波岡一喜/近藤公園/窪田正孝/伊原剛志/松方弘樹/吹石一恵/松本幸四郎/稲垣吾郎/市村正親/他
【公開日】2010/9.25
【製作】日本
【ストーリー】
江戸時代末期、罪なき民衆に不条理な殺戮を繰り返していた明石藩主・松平斉韶の暴政を訴えるため明石藩江戸家老・間宮が切腹自害する。この事件を受け、幕府内では極秘裏に斉韶暗殺が画策され、御目付役・島田新左衛門がその命を受ける。新左衛門は早速刺客集めにとりかかるが、彼の前に斉韶の腹心・鬼頭半兵衛が立ちはだかる・・・。
63年に公開されたオリジナルを観た事が無い・・・っていう以前に、この作品を調べてた時に初めてそのオリジナルがある事を知ったって位の浅はかさでもあったので、自分としては内容云々よりも『三池印』な時代劇の方に触手が動いたと言った方が正しいかもしれませんねコレ

今年は例年に無いくらい時代劇の作品が多いとは聞いていますけども、自分が今年観た時代劇作品は実際この『十三人の刺客』が最初でもあったりで、洋画の戦争モノならず邦画の時代劇まで敬遠してる感じがするこの頃ですが、三池監督が手掛けたこのリメイク版はかなりエンターテインメントもしてたので、思ってたよりも面白く観れたとこはありましたねぇ。
お話としては全体的に暴君・松平斉韶の暗殺と言うシンプルな図になっているため観易い印象もあったのですが、それと同時にその背景には『武士』という者の存在意義についても哀愁


そんな武士たちが憂いを帯びてもいた時代に突如訪れた斉韶暗殺の密命。お命頂戴となる理由も納得な所業の数々は前半のパートだけでもうオエッ・・


満を持して繰り広げられる落合宿での13人対300人強が入り乱れる襲撃シーンにしても、本作最大の見所だけあって確かにぶっちぎりで凄い。新左衛門の掛け声とともに1人1人が敵の真っ只中へ勇猛に突っ込んでいき、誰彼構わずバッサバッサと斬りまくる大殺陣は正に壮絶と言うほかない。宿場の到る所にある罠もかなり大掛かりなものばかりだから迫力もあり、刺客たちの各々の見せ場もカッコイイ♪そしてそれらが延々50分近くも続くという時代劇史上最長(?)の長さもあっぱれではある。・・・あっぱれではあるのですがっ、ただ個人的にはその50分という時間、少々長いかな?

オリジナルの30分超えをしたかったのか、はたまた13人の刺客全員の凄絶な死に様などをちゃんと描きたかったのか?そこら辺は自分の憶測ゆえ判断しかねるものの、それでもクライマックスの新左衛門対鬼頭半兵衛の一騎打ちに到るまでの集団戦の長丁場で自分はちょっとダレてしまったかもしんない。小細工無しの真剣勝負も悪くはなかったのですが、最初の罠のオンパレードもかなり良かったので、出来ればソッチの方も長く見せて欲しかったかなとも思いましたね。
とまあ最大の見所でもあった部分が自分にとってはちとイマイチな感じになってしまいましたけども、それ以外は別段不満も無かったので結果的には手堅い娯楽作になってたとは思う。役所さんを筆頭としたベテラン勢に山田孝之といった若手勢で混成した『十三人の刺客』たちも一人一人が素晴らしい演技をしてましたし、最後の大立ち回りも皆一様に気合

特に斉韶役を演じたゴローちゃんは一際異彩を放っていたように思い、涼しげ顔で平然と残虐行為を行う姿は怖いと言うよりもどこか不気味。こういう極悪人な役柄って別に彼じゃなくてももっと適任がいそうな気もするんですが、それでも起用した辺りはやっぱりギャップ狙いも含んでるんでしょうかね~?
でもそのおかげで自分も本作のバカ殿ゴローは『ゼブラーマン』の仲里依紗と同じくらいの衝撃を受けたので、見事な悪役を熱演したゴローちゃんには拍手

(・・なんて絶賛してるものの、実はホントに太鼓判押したいのは冒頭で生々しい切腹演技を見せつけてくれた内野さんでもあったりします^^;)
評価:◎