ハート・ロッカー

【監督】キャスリン・ビグロー
【出演】ジェレミー・レナー/アンソニー・マッキー/ブライアン・ジェラティ/ガイ・ピアース/レイフ・ファインズ/デビッド・モース/エバンジェリン・リリー/クリスチャン・カマルゴ
【公開日】2010/3.6
【製作】アメリカ
【ストーリー】
2004年夏。イラク、バグダット郊外。アメリカ軍の爆発物処理班は、死と隣り合わせの前線の中でも最も死を身近に感じながら爆弾の処理を行うスペシャリストたち。ある日も爆弾の処理を行い、退避しようとした瞬間に突如爆弾が爆発。一人が殉職してしまう。新しい中隊のリーダーに就任したウィリアム・ジェームズ二等軍曹は、基本的な安全対策も行わず、まるで死に対する恐れが全く無いかのように振舞う。補佐に付くJ.T.サンボーン軍曹とオーウェン・エルドリッジ技術兵は、いつ死ぬかもしれない緊張感、特に一瞬の判断ミスが死に直結する爆弾処理の任務の中で、徐々にジェームズへの不安を募らせていく・・・。
今年のはじめに『アバター』を鑑賞して衝撃を受けた者としては、ゴールデングローブ賞に続いてアカデミー賞でも作品賞などを受賞して欲しいなぁ~みたいなのが本音ではあったんですが、そこは唯一の対抗馬であったこの『ハートロッカー』が阻止。監督賞とのダブル受賞にその他もろもろの受賞と、気付いたらアバターを大きく引き離していて唖然


しかしまあ苦手とは言ってはいるものの、自分にとってこういった戦争を題材にしたような作品はその時代に何が起き、そんでもって歴史的な出来事の裏で何があったのか?なんてのを観て学ぶ教科書のようなものと捉えてるとこもあるせいか何かとタメになったりもしており、本作のハートロッカーもそんな感じに思えた。爆弾

爆弾が起動しないよう間近で信管などを抜くという作業をする以上処理をする人は死と隣り合わせであり、そのため作業員の死亡率も他と比べれば5倍も違うというのですから、正に世界で一番危険な仕事といっても大袈裟ではないかもしれない。その危険性にしても爆風で充分過ぎるほどの致命傷を与える事を冒頭で理解できますし、隊員が常に身に付けている防護服ですら物凄い気休め程度にしか感じませんね・・

また舞台にもなってるバグダット郊外は、地中に埋もれている爆弾の他にも遠方から処理班を狙っている狙撃者などにも気を配らないといけないようなので、そんなピリピリした雰囲気や疑心暗鬼の気持ちを持ち続けながらの任務がほぼ毎日続くとなると、気が滅入ってしまうのも当然のように思えます。
けどそんな中で処理班のリーダーのウィリアムは型破りな行動で班内を混乱させ続け、ただでさえハラハラするようなシーンがウィリアムの無謀極まりない作業によって更に拍車をかけるから心臓に悪いゾッとする場面がますます増えていくんですよねぇ・・。まあ端から見たらホント『どこかのネジが取れてるんじゃないだろうか?』と思ってしまう程ハイな人なんですが、それでもあんな大胆な行動が出来るのは今まで何百と言う数の爆弾処理をこなしてきた彼の実績と経験に裏打ちされた熟練者ならではの行動のようにも思えますし、慎重さや手順通りの作業が重視される仕事ではあるけれど、ウィリアムのマニュアル無視な行動も時と場合によっては必要なんじゃないか?と、途中からやや肯定気味な立場で自分は観ちゃってました

そのウィリアムを演じたジェレミー・レナーはほぼ知名度の無い俳優さんなんだそうで自分も全然知りませんでしたが、主演男優賞にノミネートされただけはあって本作では見事な熱演っ

それと髪型がどことな~くダニエル・クレイグっぽかったので、アングルによってはダニエルボンドに見えちゃったというのは自分だけかもしれませんね

そんな迫真の演技で魅せたジェレミー・レナーをはじめ、一緒に共演してたアンソニー・マッキーやブライアン・ジェラティという人達もほぼ無名。BGMも限られたシーンのみの使用だったり、手持ちカメラ


・・でもこの映画って爆弾処理班の姿を通してイラク戦争に関する問題やら何やらを浮き彫りにした作品かといえばそれはそれでまたちょいと違うような気もする。むしろ個人的にはあまり知らなかった爆弾処理班という職業の人達の日常や日々の任務での苦闘、そしてそれぞれが抱える不安といった部分に忠実に迫ったのが結構印象強かったですね。
評価:◎