沈まぬ太陽

【監督】若松節朗
【出演】渡辺謙/三浦友和/松雪泰子/鈴木京香/石坂浩二/香川照之/木村多江/清水美沙/鶴田真由/柏原崇/戸田恵梨香/大杉漣/西村雅彦/柴俊夫/風間トオル/菅田俊、神山繁/草笛光子/宇津井健/小林稔侍/加藤剛/他
【公開日】2009/10.24
【製作】日本

【ストーリー】
昭和40年代。巨大企業・国民航空社員の恩地元は、労働組合委員長として職場環境の改善に取り組んでいた。だがその結果、恩地は懲罰人事ともいえる海外赴任命令を会社から言い渡される。カラチ、テヘラン、ケニアなど、終わりなき僻地への辞令が続く間、会社は帰国をちらつかせ、恩地に組合からの脱退を促すのだった。そんな中、共に闘った同期の行天四郎は出世の為早々に組合を抜け、エリートコースを歩み始めていた。行天の裏切り、更に妻・りつ子ら家族との長年にわたる離れ離れの生活によって、恩地は次第に焦燥感と孤独感に襲われる日々を送っていた・・。十年に及ぶ僻地での不遇な海外勤務に耐え、恩地は漸く帰国。本社への復帰を果たすが、恩地への待遇が変わることはなかった。そんな逆境の日々の中、航空史上最大のジャンボ機墜落事故が起こる・・・
【コメント】
毎度お馴染みだけど、元々この作品も原作は未読で個人的に期待していた理由もただ単に渡辺謙が出演してると言う安直な理由だったりするのですが、でも謙さんが出演すればなんかそれだけで作品に1つのステータスが付くくらいの『凄味』みたいなのが付与されるし、引き込まれる迫真の演技等にも決して裏切られはしないんですよねぇ。・・まあ多少苦手なジャンルでもありましたが、一緒に観たウチのオカンが原作好きなのもあってか、そのごんぶとな内容や飛行機事故の詳細などを事前に説明されていたおかげで、とても感動できた作品だったように思えます。

物語は主人公の恩地元を軸にして、日本最大の航空会社の暗部、そして不当な懲罰人事等に翻弄されながらも己の矜持と正義の心を持って会社の上層部と真っ向から対立した恩地の激動の30年間を、実に3時間20分と言う長丁場でもって壮大に描いています。
しかし内容以前に自分も鑑賞前はこの3時間超えというえらい長い上映時間には何かと不安を覚えていましたねぇ。骨太なドラマを3時間観続ける根気力があるかというのも疑問でしたし、インターミッション込みでも理解できるか?というもう1つの不安も付き纏っていたのですが、意外にも杞憂だった。冒頭の恩地のアフリカ駐在の回想と並行して映し出された飛行機墜落シーン。直後に遺族係の恩地や会社側へ雪崩のように向けられた遺族の怒り・悲しみに世間の非難。この惨劇が企業の腐敗とどう繋がってたのかというのを、沈痛な面持ちをしながらも見入ってました

本作はフィクションですが、恩地が勤めてる国民航空やジャンボ機の墜落事故などは、85年に起きた御巣鷹山の日航機墜落事故といった実際の出来事を基にしてるのだとオカンからも聞かされていましたけど、自分はその当時はまだバブーな人だったのでその時の事故の惨状を当然理解できるはずも無く、恥ずかしながら20年以上経った今本作を観てようやく理解した自分・・。当時の現場もこんな状況だったのかと思うと、下唇を噛み締めて涙を堪えるような感じで観てましたし、フィクションとはいえ、風化させてはならない出来事を無知な自分に映画を通して教えてくれたような気もするので、見応えはかなりありましたねぇ。
そいえば去年公開された「クライマーズ・ハイ(未見)」も確か日航機墜落事故を記者側の視点で描いていたこれまた骨太な内容だったと聞いてますが、この『沈まぬ太陽』は事故を起こした会社側から鋭く描かれているので、クライマーズ・ハイとはまた異なった観方が出来るんでしょうね~?。
後から捨て台詞のように言う事ですけど、やっぱり観ておけば良かったかな~と

日本映画史上最大のスケールと謳ってるだけはあり、内容も然る事ながらキャスティングの豪華絢爛さも本作の見所の1つ。目当てだっただけあり恩地役の渡辺謙の貫禄ある演技はさすがで、度重なる人事異動でその強い精神がどんどんと病んで行く姿もあれば、遺族係では家族や友人を失った人達を何度も目の当たりにしては悲しみに打ちひしがれる姿なども凄く痛々しいんですよねぇ・・。
かと思えば息子との対話や妻のりつ子と手を繋ぐシーンなど、家族とのやり取りでは何かと不器用だけど微笑ましい部分もあってとても人間臭い役柄だったと思います。
でもって恩地とは対称的に、出世のためならどんな手でも使う行天を演じた三浦友和も謙さんに負けず劣らずの存在感っ。終始憎々しい役に徹しててこれまた素晴らしいですねぇ。彼の目線を通して企業の腐敗体質や癒着などをこれでもかというくらい見せ付けられるので、お偉方にヘコヘコしながら影で着々と裏工作を進める彼の姿に何度立腹した事かっ
でもまあ多分行天には行天なりにトップへ上り詰めて成し遂げたい事があったとは思いますし、そのためには綺麗事では時間が掛かるからああいうあくどい事ばかりを行ってたんだなぁ・・とも思いたい所なんですが、結局彼の真意みたいなものはあまり分からなかったので、その辺りがちょっと不透明で純粋に出世欲の強い悪党にしか見えなかった気がしないでもない・・?
それに最後の結末に関しても個人的には意外で、八木の送った手帳が最後の切り札となって行天も含め、企業の腐敗に一枚噛んでた人達を一網打尽にしてめでたしという勧善懲悪を予想してた所もあったせいか、ラストで恩地が受けたナイロビへの懲罰人事もなんかモヤモヤしたものが残ってしまったんですよね。直後に東京地検が動いたからタッチの差みたいな所も尚更歯痒かったんですけど、それでも恩地は試合にこそ負けたけど勝負に勝ったみたいな感じだったので、処遇こそやり切れないものの、国見と同じく最後の最後で会社の一番大きな膿を出したみたいでそこは自分もホッとしました。


※あとこれも個人的に思ったのですが、労働組合時に組合員が恩地の名前をメチャクチャ連呼するシーンがあるのですが、そこで苦笑してしまったのは自分だけでしょうかね~?(歌が得意じゃない人にあの連呼は辛いのでは?)
超社会派ドラマなのに、変な所でニヤケてしまいましたw

『沈まぬ太陽』公式サイト

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渡辺謙さん主演ってことで
とてもひきつけられて見ましたね。
おもってたほどドーンと重たくはなかったけど、
理不尽な会社の中で頑張ってる恩地には、
胸が苦しかったですね。
最後、行天には一発グーをくらわせてやりたかったです!

わたしも

実はこれは苦手な分野でして
謙さん主演で無ければ観てないかも。
3時間ずっと集中して観れたのには
我ながら驚きでしたが
それだけ中身の濃い人間ドラマでしたね。
企業の歯車の一つにすぎない社員って大変なんだなぁと
あらためて感じました・・・・(みなさんお疲れ様です)

鬼気迫るっ

>えふさんこんばんわ♪

明日の記憶や以前テレビで入った刑事ドラマでも、謙さんの演技は常に鬼気迫るような迫真さがあるので、重厚な内容もあってか今のところハズレがないんですよねぇ~。本作も上映時間や本格社会派ドラマという部分がネックでもあったものの、結果的には最後まで満足して観られましたし、あまり重い雰囲気をを感じさせなかったストーリーも好感が持てました♪

>ななさんこんばんわ♪

自分も正直謙さんじゃなければスルーの対象でしたね~(^▽^;)そういう意味では本作も内容うんぬんより出演者目当てでもあったのかも?(汗
でも3時間と言う時間は映画好きな人でもちょっと考えてしまう所がある長大さだとですが、劇中の飛行機事故の場面や遺族が悲しみに暮れるシーンなどで力尽きて眠っちゃったりしたら、それこそ自分はイチ映画好きとして失格だし失礼だとも思ったので、もう内容を少しでも理解するために食い入るように観ちゃってましたw

こんにちは

メビウスさん、こんにちは!

渡辺謙さんは存在感がありましたよね。
長尺の作品でしたが、渡辺謙さんの圧倒的な迫力が支えていたようにも思えます。
ドラマも骨太で見応えありました。
サラリーマンとして共感できるところもあり、恩地の行動から自分の仕事に対しても勇気をもらえたような気がします。
俄然、原作にも興味が出てきました。

日アカ候補

>はらやんさんこんばんわ♪

骨太なストーリーの方も見応えありましたけど、それも謙さんや実力のあるキャスティングが揃ってこそ成り立っていたようにも思えますね。謙さんは原作者に打診をするくらい恩地役を熱望していたそうなので、その熱意は彼の迫真の演技で理解する事が出来ますね。こりゃまた来年の日アカに候補として挙がりそうな予感がしますw

でも原作は2000ページ強にもなる大長編らしいので、映像では我慢できても活字の羅列だと自分は眠ってしまいそうです・・(汗

こんばんは

TB&コメントありがとうございました。

今年の日本映画を代表する力作でした。企業の思惑や激動の時代に呑まれながらも、信念を貫き通した恩地の姿に目頭が熱くなりました。
息子とのやりとりは僕も好きです。子供の頃は気付かなかった父親の背中の大きさを知って、父親との距離を縮めた息子。牛丼屋のシーンで泣きそうになりました。

伏兵

>えめきんさんこんばんわ♪

今年の邦画は『剣岳』がダントツだと思ったのですが、やっぱり伏兵が現れましたねw重厚な内容は謳い文句通り、『魂が震える』感覚でした。
でも恩地の生き様って端から見たら確かに意地になってるだけにも感じますが、そういう個人の矜持や信念も時には何かの支えになったりするんですよねぇ。何より30年も己の我を貫き通すなんて並大抵の事じゃ出来ないと思いますしね。

コメントありがとうございました

85年にバブーって、ヤングなんですね(笑)
自分は小学生で、911ぐらいの衝撃を受けました。

この作品は、航空会社の人間模様がメインですし
まずフィクションですけど、『クライマーズ・ハイ』の方は
あちらも会社内のゴタゴタもありますが、日航機墜落事故に
関しては、より真正面から描いていたと思います。

善の象徴の恩地、悪の象徴の行天、いかにも
山崎豊子作品らしかったですね。

3歳でした

>YOSHIYU機さんこんばんわ♪

バブーはちょっと大袈裟でしたが、それでも日航機が墜落した年だと自分はまだ3歳でしたので、赤ちゃん同様何も覚えていなかったんですよねぇ・・。オトンやオカンはニュースで知っていたらしいのですけど、YOSHIYU機さんと同じく9.11のような大惨事が国内で起きた事は今でも強く印象に残ってるとも言ってました。
そういったリアルな背景を下敷きにしてるせいか、本作は3時間以上でも全然退屈しなかったですね。恩地と行天の対立も善悪の構図が明確になっていて分かりやすかったですし、行天を演じた三浦友和さんに到ってはああいう悪役をあまり見ないだけに、とても新鮮に思えてしまいました。

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