劒岳 点の記(評価:☆)

【監督】新田次郎
【出演】浅野忠信/香川照之/松田龍平/モロ師岡/蛍雪次朗/仁科貴/蟹江一平/仲村トオル/小市慢太郎/安藤彰則/橋本一郎/本田大輔/宮崎あおい/小澤征悦/新井浩文/鈴木砂羽/笹野高史/石橋蓮司/國村隼/井川比佐志/夏八木勲/役所広司
【公開日】2009/6.20
【製作】日本
【ストーリー】
陸軍陸地測量部の柴崎芳太郎は、日本地図最後の空白地点を埋めるため『陸軍の威信にかけて、劒岳の初登頂と測量を果たせ』という厳命を受ける。妻・葉津よの励ましを受け、柴崎は前任の測量手・古田盛作から紹介された案内人の宇治長次郎と劒岳の調査のため山に入ったが、登頂の手掛かりすら掴めずに下山する。
翌明治40年、測夫・生田信らを加えた測量隊総勢7人で劒岳周辺の山々に三角点を設置。ついに劒岳に挑むが、絶壁・雪崩・暴風雨、困難に次ぐ困難が測量隊の行方を阻む・・・
以前『情熱大陸』で木村大作監督にスポットを当てた回があり、そこでこの『劒岳』の撮影風景

明治時代、空白となっている日本地図

服装もただ雪を凌ぐだけっぽい藁で編んだような具足で防寒と呼ぶには程遠く見えますし、更には重さが何十キロもある測量道具を背負いながらの登頂でもあるため過酷を極めている。足場も最悪なガレキの山で、天候も猛吹雪や豪雨に晒される日々も続いたりと、こんな事を100年も前に実際に行っていたと思うとやはり驚いてしまいますね。それにいくら軍の厳命・・・ひいてはお国のためという名目とはいえ、軍のお偉いさんのわがままっぷりには呆れてしまうものもありましたね~


そんなに1番乗りがいいのかと腹立たしく思いますし、結果が分かった途端ああいう評価を下すところもド畜生ですね。すぐ後の柴崎達の叫びも妙に悔しさを抱いた感じに聞こえてしまいました。
また本作は雄大な山々の風景や、美しさ・厳しさを併せ持った大自然の壮大さも見所でしたが、CG・空撮といったものを全く使わなかったと言う本格的なシーンの数々にも注目してしまいます。極寒の雪山を当時の測量士たちが三角点を設置したルート通りに登山して撮影し、殆どガケに近い岩場や急斜面なども実際に登っているので、圧倒されてしまうことうけあいじゃないでしょうか?ただ中盤辺りの雪崩のシーンはどうやったかは分かりませんけど、確か『情熱大陸』見てた時は浅野忠信と香川照之は本当に埋められてて、雪崩の恐怖を体感してもらう・・・なんてことやらされてたよーな記憶が・・・

でも木村監督のそういう妥協をしない点が、本作のドラマ性にも深みを与えているんだと思いますね。
名誉や名声を求めたのではなく、ただ『地図』を完成させるため・・・。文句や愚痴を何もこぼさず、1つの事に対し愚直なまでに自身の仕事をやり遂げた柴崎達の行動、そして共に苦難を乗り越え、その中で芽生えた『仲間』という心に染み入る言葉を聞き、自分も久しぶりに男泣き

まあ今年もあんまり邦画は観ていませんが、それでも取り敢えず自分が今の所鑑賞した邦画の中でこの『劒岳 点の記』は最高の1本でございましたっ

『劒岳 点の記』公式サイト

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