【DVD】秒速5センチメートル(評価:◎)

【監督】新海誠
【声の出演】水橋研二/近藤好美/尾上綾華/花村怜美
【公開日】2007/3.3
【製作】日本
【ストーリー】
小学校の卒業と同時に離ればなれになった遠野貴樹と篠原明里。そのとき、二人の間には二人だけの特別な想いが存在していた。しかし無情にも時だけが過ぎてゆく・・。そんな日々を重ねたある日、ついに貴樹は明里に会いに行くことを決意する。訪れた約束の日、チラホラと舞う雪がスピードを増し、辺りを白く包んで行った・・・
遠距離恋愛ってやっぱり難しいもんなんですね~・・(^^;)子供の頃の甘酸っぱい思い出とはいえ、あれだけ想いが深かった貴樹と明里ですから、どうにか幸明るい二人の未来を途中まで想像してたのですけど、アニメでも現実の厳しさと言うか、『距離』という概念が持つ見えない壁の厚さを感じた気がします・・。
1作目の『ほしのこえ』は短編、2作目の『雲のむこう、約束の場所』は長編、そして3作目となる本作はオムニバス形式の短編連作という珍しい形で描かれている『秒速5センチメートル』。新海作品の見所でもある映像美も然る事ながらですが、今回は内容に非現実的な要素が見られず、主人公である貴樹を中心に彼らが過ごす日常的な出来事を淡々と見せているため、前の2作よりもかなり現実的な作風に見えてしまいました。
全3作で織り成される物語は貴樹の少年期から成年となるまでの過程を描いており、なんだか1種の回顧録のような内容に見えなくもなかったのですが、3作品ともとても良く出来たストーリーなので、1つ1つ独立した作品のように観たとしても面白いと思いますね。
1話の『桜花抄』は、中学生の貴樹が転校で遠く離れた場所にいる明里と再開する為、電車

・・・まあ自分、今でこそ車で通勤したり映画観に行ったりしてますが、それこそ貴樹と同じくらいの年頃は隣町とかに遊びに行ったりする時は電車が非常に重要な移動手段だったので、劇中のように豪雪で電車が一旦停止して目的地まで何時間も掛かるという辛さは、北国出身ゆえ痛い位に理解できるんですよね~


2話の『コスモナウト』は、鹿児島に転校した貴樹を想う地元っ子の花苗という女性の視点から描かれた物語ですが、個人的にはこのストーリーが一番グッ

中学の時に一目惚れをし、猛勉強の末貴樹と同じ高校に通ったりする辺り、花苗も少女時代の明里と同じ位『一途』に見えましたが、そんな花苗の内なる想いとは裏腹に当の貴樹は明里への想いをまだ忘れる事が出来ずどこか上の空。遥か先をぼんやり見据えながら花苗にも優しく接するその姿は、叶わぬ恋と理解した上で優しくされる花苗本人にとっても辛いものだったと思いますね。『中途半端な優しさは人を傷付ける』なんて言葉をどっかで聞いたような聞かなかったような・・・ちょっと自分も曖昧な所がありますけど、なんにせよ花苗に対して貴樹が接した行動はそんな感じにも見えちゃいましたねぇ・・。
しかし約1時間の作品なので2話が終了した時点で残り10分弱くらいしかなくて、〆の第3話は少々あっさりしたものになるのかな?と思ったら、最後は最後で山崎まさよしの『One More Time, One More Chance』の歌

ラストシーンも冒頭の踏切で偶然か運命か、一瞬とはいえ再会する事が出来た貴樹と明里。絶妙なタイミングで電車が二人を遮り、『早く通過してくれ~!直ぐそこにいるんですよ~!!』とソワソワさせてくれたように、到る所に張り巡らされた『距離感』という要素を凄く上手く活用していた本作は、前2作以上に好きになってしまった新海作品でした♪

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