ストップ・ロス 戦火の逃亡者
【監督】キンバリー・ピアース
【出演】ライアン・フィリップ/アビー・コーニッシュ/チャニング・テイタム/ジョセフ・ゴードン=レヴィット/ティモシー・オリファント
【公開日】未公開
【レンタル日】2008/10.3
【製作】アメリカ

【ストーリー】
イラクの過酷な戦場からアメリカに帰還した若き兵士たち。戦場で多大な傷を心に負った2等軍曹のブランドンは、兵役の終了と同時に軍を除隊する決意を固めていた。しかし、ストップ・ロスが彼に適応され、再びイラクへの赴任が命じられる。猛抗議が受け入れられず、カッとなったブランドンは軍から脱走。軍と警察から追われる逃亡者になりながらも、理不尽な制度に戦いを挑むのだが・・・
【コメント】
イラク戦争を題材にした作品はデリケートな部分もあり、中途半端に作ると現役の兵士さんなどに返って反感を買ってしまうものですが、この作品は非常に良く出来てましたね。またもや『何故未公開?』と疑問に思ってしまった珠玉の戦争ドラマです。

タイトルにもなっている『ストップ・ロス』とは、アメリカ政府が兵士不足解消のため強制的に兵役期間を延長させる制度の事で、自分も本作で初めて聞いた単語。兵士本人の許可なくこのストップ・ロスが適用され、再度派兵されるというケースが後を立たないそうなので、今現在アメリカが抱える問題の1つに、このストップ・ロス制度も挙げられているのだそうです。
イラク任務から帰還し、除隊を申請していた主人公のブランドンもこのストップ・ロスが適用されるものの、再度のイラク派兵を拒んだ彼は逃亡。立派に任務をこなした模範兵から一転して脱走兵となり逃亡を図るのですが、このストップ・ロスを拒んでブランドンのような決死の逃亡をする兵士は実際にもかなりの数がいるそうで、その部分も決してフィクションの類ではないのだとか?でもその理由は戦争を体験した事のない自分も、本作を観て何となく理解できましたねぇ・・・

冒頭イラクの市街地で激しい銃撃戦が展開され、敵味方問わず次々と目の前で人が死んでいく姿を目の当たりにする凄惨な光景・・、そういう死と隣り合わせの場所にもう一度言って来いとか言われれば、多分殆どの人は『ノー』と言うはず。また戦地に戻って人殺しをするよりは逃亡の道を歩む方がマシだと考える人もいるそうですが、脱走兵には日常生活のありとあらゆるものに制約がかけられるため、結局どっちに転んでも『一寸先は闇』な状況が、とても不条理に思えました。

また、本作で主人公のブランドンを演じたライアン・フィリップの演技も迫真で、『父親たちの星条旗』に続いてまたも戦争や軍の制度に翻弄され、苦悩する姿を熱演している。DVDの特典メニューに『ブートキャンプ』いうものがあり、出演者達が本物の兵士達の実戦さながらの訓練をしている風景からも感じ取れるように、ライアンや他のイケメン若手俳優達の本格的な兵士の動きや、戦争に対する恐怖や疑問を抱く今時の若者の素顔を演じてる辺りも見所かと思います。


実際の帰還兵の話や現地で撮影したビデオ、帰還パレードや戦場で体験した事などを基に製作しただけはあり、戦闘シーンだけじゃなく帰還兵の何割かが抱えるPTSD(心的外傷後ストレス障害)なども忠実に再現してて、予想以上に骨太な作品。『映画というのは何かしらの役割がある』と、以前地元のラジオパーソナリティーの方が言っていたのですが、ストップ・ロス制度の現状を知るという点では、自分もとてもタメになりましたし良い役割も担っている良作ですね。
しかし最後にブランドンが取った行動にはちょっと意外でしたが、『逃げても無駄』とかそういう諦めの態度から出た結果ではなく、『一刻も早く戦争を終わらせたい』という決意と覚悟を持った上で選んだものだと、個人的には思いましたね~。それに逃げる事も悪い事ではありませんが、だからといって何かが変わるわけでもありませんしね。

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 コチラの「ストップ・ロス 戦火の逃亡者」は、「ボーイズ・ドント・クライ」のキンバリー・ピアース監督が脚本&製作も手掛け、現代アメリカが抱える問題を鋭く描いたとても見応えのある作品です。主人公の名前が、「ボーイズ・ドント・クライ」と同じブランドンなのは?...
”ストップ・ロス”なんていう制度があるなんて・・・

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非公開コメント

本当!

興味深いテーマで未公開はもったいなかったですよね。
最後の決断は、やっぱり仲間のためっつ~のが
大きかったように感じましたね。
コメンタリーで監督も言ってたのですが、
なんつ~か彼らしい選択ではありましたよね。うん。

決断の理由

>miyuさんこんばんわ♪

仲間のため・・・そうですね。ブランドンも戦争で仲間が死んでいくのを何度も目撃し、守る事が出来なかったと自分自身を責めて苦悩していたシーンがあったので、これ以上仲間を死なせたくないという思いも再度派兵に着いた理由の1つなのかもしれませんね。

でもこういう深い作品ほど一般公開に向いていると思うのですが、なんで公開しないんでしょうね?興収イマイチと思ったのでしょうか?なんだかな~・・・(汗

思ってたよりも

ずっと良かったです!
帰還兵のPTSDの映画だろうなぁ・・最近よくあるタイプの・・と、思ってたんですが、それもありましたが、また違った切り口で、それも知らなかった”ストップ・ロス”などという不条理な制度のことなどもわかるようになってた、なかなか見応えのある映画でした。

ラストのあの選択も、仲間のため、そして新たに彼の部下(?)になった彼よりも若い兵士のため・・という感じで
彼の決意と覚悟が伝わって来ましたね~。
とっても切なかったですが、今度も生きて帰ってきて!と
願わずにはいられませんでした。
でも、行ったからには殺し殺され、という日常がまってるんですよね~・・・あ~~ほんと、戦争って空しい・・。

不条理な制度

>メルさんこんばんわ♪

戦争に行きたくないのに行かされてしまう・・。そこからしてすでに理不尽ですし、それがまかり通るストップ・ロスというのは、自分たちから見てもおかしな制度だと思ってしまいますね。
それにこのストップ・ロスが適用され、また戦地に送られ戦死してしまった人達もたくさんいるだろうと考えると、逃亡を図るブランドンの気持ちも良く分かります。

こういう作品を見ると少々不謹慎ではありますが、ホント自分たちは日本に生まれて心底幸せだと感じてしまいます・・。

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