ハンニバル・ライジング(評価:○)

【監督】ピーター・ウェーバー
【出演】ギャスパー・ウリエル/コン・リー/リス・エヴァンス/ケヴィン・マクキッド/ドミニク・ウエスト
【公開日】2007/4.21
【製作】アメリカ、イギリス、フランス
【ストーリー】
1944年のリトアニア。名門貴族の家系に生まれたハンニバルは戦争の悲劇により両親を失う。幼い妹ミーシャを連れて山小屋で生活を始めたハンニバルだったが、ドイツ軍のグルータス率いる逃亡兵達が現れ2人を監禁してしまう。やがて小屋の食料が底を尽き始めると、グルータスは自分達が生き延びる為にミーシャを犠牲にしようと考える。必死で抵抗するハンニバルだったが、頭を殴られ意識を失ってしまう。
やがて戦争が終結しその8年後、成長したハンニバルは収容されていた孤児院を脱走し、逃亡兵達への復讐を誓う・・・
【コメント】
レクター博士と言ったらアンソニー・ホプキンスが真っ先に思い浮かぶほど印象深い存在。しかし若かりし時代とはいえ、やはりそのレクターを若手のギャスパー・ウリエルが演じている事で最初は全く別物な感じにも見えた。幼い日に妹を殺されたため、全体的に私怨のようなストーリーになっているのも別物と感じた理由の1つかもしれません。だけどそれと平行してレクターの内なる狂気が徐々に目覚めていく過程も中々見応えがありました。
彼の豊富な医学知識や人体解剖術はパリでの医学生時代によって培われ、貴族のような立ち振る舞いや美学はコン・リーが演じるレディ・ムラサキの教養を受けた事で洗練され、そしてあの冷酷なまでの残虐性はレディ・ムラサキに卑猥な言葉を浴びせた肉屋の男を殺害した事で開花を果たす。
この辺りは『羊たちの沈黙』でレクターの隣室の男がクラリスに性的な侮辱を浴びせたため、後にレクターに言葉だけで殺されたっていう所と似てますね。殺人鬼ではあるんですけど、女性に対する侮辱を決して許さない紳士な部分もあるから、レクターは憎めないんですよねぇ~。でも今思うと『言葉だけでどうやって殺したんよ?』って突っ込みたい部分でもありますけど( ̄▽ ̄;)
またヤング(若さ)ゆえか、レディ・ムラサキに制止されるも危険を顧みず妹の復讐に躍起になり、返って窮地に陥りそうになる場面もあったりと、冷静で用意周到にも関わらず少し危うい所も見られる。レディ・ムラサキに対しても淡い恋心が芽生える人間らしい感情があるのも新鮮ですが、その彼女にも最後は愛を拒絶されてしまい、怨敵グルータスを食らう事で本当のモンスターとなるシーンが印象的でした。
でも何で本作で日本文化を取り入れたんでしょうね~?この設定にも最初は違和感感じましたし、あの鎧のお面と『沈黙』で見せた拘束具のマスクと接点付けたかっただけだと思ったんですけど、日本を舞台にした続編がまだあるとか言うらしいので、間接的に次回作への『繋ぎ』を示していたのかもしれませんね。
次回作ではくれぐれも間違った日本を描かないで欲しいものです。
『ハンニバル・ライジング』公式サイト
