硫黄島からの手紙(評価:☆)

【監督】クリント・イーストウッド
【出演】渡辺謙/二宮和也/伊原剛志/加瀬亮/裕木奈江/中村獅童
【公開日】2006/12.9
【製作】アメリカ
【ストーリー】
1944年6月。陸軍中将の栗林忠道は硫黄島へとやって来た。アメリカの留学経験を持つ彼は、この硫黄島で洞窟を掘ってアメリカ兵を迎え撃つ作戦に着手して行く。そして45年の2月19日、遂にアメリカ兵が硫黄島へ上陸。戦力においても圧倒的不利・・生きて帰れないと知りながらも栗林は兵士達に『死ぬな』と命じ、絶望的な状況の中、日本兵達はアメリカ兵と36日間もの徹底抗戦を続ける・・・
【コメント】
2部作を通じてようやく自分にも理解できた気がする硫黄島の真実。そしてこれほどまで日本人に敬意を払って本作を作ってくれたクリント・イーストウッド監督に感謝したい気持ちです。
10月末に公開された前作『父親たちの星条旗』はアメリカの視点、そして本作である『硫黄島からの手紙』は日本側の視点となり、劣勢の状況の中どのようにしてアメリカと1ヶ月以上もの激戦を繰り広げたかと言うのが、登場人物達の様々な思いと共に描かれています。
最初個人的に気になったのが、てっきり主演である渡辺謙が演じる栗林中将を中心にして大よそのストーリーが進んでいくものとばかり思っていたのですが、何だか観る限りでは二宮和也演じる西郷昇が主人公のように感じてしまいました。
硫黄島で展開されるアメリカとの戦いや、日本兵達それぞれが抱える苦悩等を、まるで彼の視点を通して一緒に『観ている』かのようです。
全編彼と共にするようなものなので、当然彼・・二宮和也の演技にも俄然注目してしまうのですが、個人的にはかなり良かったと思います♪クリント・イーストウッドが太鼓判を押す程だと耳に入れていたのですが、自分は太鼓判2つくらいポンポンと押しても良いと思いますよ(笑
やはり当初は彼に不安もあったのですが、それが見事払拭されて俳優陣の演技は隙の無い仕上がりになっていました。謙さんや伊原剛志、中村獅童といったベテラン勢はもう言う必要も無いと思いますし・・(笑
と言うか謙さんに至っては、隙どころかもう安心して観れる所があるんですよねー(^▽^;)ハリウッドでの実績もありますから。
謙さんが演じた栗林中将は指揮官としての威厳も持ち合わせてる反面、家族へ宛てる手紙を書く時などは1人の父親としての姿を垣間見せる家族想いの軍人さん。・・でも彼のその家族の事が全然描かれていないのがちょっと残念な所ではありましたね。2~3分くらいの回想シーンでもいいからちょっと出して欲しかったかなと?(汗
そして、硫黄島での日本兵とアメリカ兵との迫力ある戦闘シーンは本作でも健在・・・・と言うかかなりパワーアップしてる風にも見えました。
また、前作で使われていたシーンが一部盛り込まれているので、本作と前作を照らし合わせ、2つの異なる視点から見えてくる真実があるのも中々良い。でも特に衝撃的だったのは日本兵に銃剣で殺されてしまったイギーです・・(イギーですよね?(汗)その無残な姿は前作では明らかにされませんでしたが、本作でその残酷描写が浮き彫りになり、あのシーンは凄く辛かったですね・・・知らないほうがいい真実ってああいうのを言うのかもしれない・・
しかし日本とアメリカの両面から描かれた硫黄島2部作。どちらが正義でどちらが悪と、偏った捉え方をしていないため、結果的には2作品とも秀逸な出来映え。
『硫黄島からの手紙』→『父親たちの星条旗』と、逆に鑑賞しても問題無いかと思いますね。良作です♪
『後はオスカーだけが気がかりだ・・・』(西郷風に)
『硫黄島からの手紙』公式サイト
