美しき野獣(評価:○)

【監督】キム・ソンス
【出演】クォン・サンウ/ユ・ジテ/オム・ジウォン/ソン・ビョンホ
【公開日】2006/2.11
【製作】韓国
【ストーリー】
タフで過激、だがその裏に不器用な純粋さと愛を秘めた凶悪犯罪捜査班の若き刑事チャン・ドヨン。妥協の無い完璧なエリート検事であるソウル中央地検の検事オ・ジヌ。ドヨンは自分の義弟を殺した犯人逮捕を心に誓い、オ・ジヌもまた社会を腐敗させている大物黒幕の逮捕に人生を賭けていた。
それぞれの事件を追っていた2人が大都市ソウルで出会う時、2つの事件は交差し、予測もつかない方向へと大きく動き出していく・・
【コメント】
実は自分、サンウ作品をあまり観てなくて、彼の出演作で観たのはせいぜい『火山高』くらい(^▽^;)(汗
なので、自分の中でのクォン・サンウと言う人物は、肉体派俳優のイメージが凄く強くて・・・・あ、でも彼は実際にもガタイがかなりスンバラシイみたいです。
正直8億円と言う製作費を一体どの辺りに使ったの?と言うのが後にも先にも引っ掛かっている疑問なんですけど、もしかしたらクォン・サンウ演じるドヨンがソウルの街を自由に暴れまわるために、その一部を使ったとか?(笑)
冒頭のカーチェイスでもそうだったんですが、結構派手にソウル市街で爆走したり銃でドンパチしてるのが目を引きました。
先にも述べたように、自分はサンウ作品をあまり観てませんが、ラブストーリー映画に数多く出演もしている彼にとっては、このドヨン役は今までにない役柄だとか?確かに『恋する神父』などでも彼のイメージは爽やか系が定着しているように思えますが、本作ではそのイメージがガラリと変わってワイルドでバイオレンスと正に野獣のような荒々しさ。
その反面、家族思いで病気の母親を気遣ったり、母親の代わりに食堂を切り盛りしているジュヒの前では不器用になったりと、繊細な一面も見せる。
スタントを使わなかったと言う彼のアクションも見所の1つではありますが、やや過剰すぎるアクションシーンも多く、『そこはわざわざ飛んで攻撃する所なの?』と不要にも思える動きも目立ってたり・・でもヤクザとの取っ組み合いの中で足払いをするシーンがあるんですが、そこは綺麗でした(笑
そしてもう1人の主役であるオ・ジヌ役のユ・ジテ。なんか名前似てますね(^^;)
この人の出演作も『オールドボーイ』と『クムジャさん』しか観てませんが、彼も『オールド~』の不気味な役から一転してクールで冷徹なエリート検事役を好演している。・・でもこの役の為に10kgも減量したとの事ですが、それってこの役柄に支障をきたす程彼がデブってたって事なんでしょうか・・・?
エリート検事はやはりスマートな体格が良いとか?別に少し太ってて貫禄がついてても良いと思うんですけどね。
すぐカッとなり力で事件を解決するドヨンと、法と言葉で事件を解決するオ・ジヌ。全く正反対な2人が偶然にも同じ事件で出会い、互いに協力し合う中で次第に友情が芽生えていく。
なんかありふれてますが観てると結構微笑ましいんですよねこれがまた♪オ・ジヌがドヨンにジッポを渡す場面はそれが上手く出ていて良いシーンだと思いましたね。
しかしこの映画ってシリアス風な刑事ドラマ仕立てになってますが、自分にはど~も全編通して復讐映画に見えなくも無かったです。
互いの正義を掲げ、悪を倒そうとするはずが逆にハメられてしまい、ジヌに至っては正義と信じてきた法に裏切られてしまう。法廷のシーンで激怒して、彼もある意味野獣になってしまうシーンが印象に残る・・。
アレ?『容疑者室井慎二』?
そして最後も何だか報われないような終わり方で、正直あんな結末になるとは思いもしなかったです。ああ言う憎たらしいヤクザのボスの証拠を掴んで、真っ当な裁きを下すとばかり思ってたんですが、結局は銃で何もかも解決してしまう辺りがやるせない・・・
2大スターの豪華競演と言う前情報で興味が沸いて観たものの、個人的には何だかパク・チャヌク監督の復讐3部作の外伝みたいな映画を観ているようでした。キム・ソンス監督はパク監督の助監督をしてただけにインスパイアされたのかな?初監督作としては無難な出来映えだったかなと。
※でも1箇所だけ太鼓判を押せるシーンがあって、ヤクザのボスのカンジンが、どこかのレストランで食事してる時に男の指を切っちゃうシーンがあるんですが、男は叫び声を上げながら正にこれから指を切られる寸前。観客にもそのシーンをまざまざと見せ付けられるので『うあ”~!ヤバイヤバイ!!』と緊張感がピークに達し、いざチョッキン!!!!・・・・・・・・と思ったら
サクッ・・・
その瞬間ステーキの肉を切るシーンに早変わり( ̄▽ ̄;)・・・・上手すぎる演出だと思ったんですけど?と言うか正直凄く怖かったです・・
『美しき野獣』公式サイト
