ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密

【監督】ライアン・ジョンソン
【出演】 ダニエル・クレイグ/クリス・エバンス/アナ・デ・アルマス/ジェイミー・リー・カーティス/マイケル・シャノン/ドン・ジョンソン/トニ・コレット/クリストファー・プラマー/他
【公開日】2020年1月31日
【製作】アメリカ
【ストーリー】
NY郊外の館で巨大な出版社の創設者ハーラン・スロンビーが、85歳の誕生日パーティーの翌朝に遺体で発見される。名探偵ブノワ・ブランは、匿名の人物からこの事件の調査依頼を受けることになる。パーティーに参加していた資産家の家族や看護師、家政婦ら屋敷にいた全員が第一容疑者。調査が進むうちに名探偵が家族のもつれた謎を解き明かし、事件の真相に迫っていく・・・。
今年はアカデミー賞の授賞式前に地元でも結構ノミネート作品が公開されており、本作に関しては脚本賞の方にノミネートされてたからという興味からの鑑賞ではあったものの、いやはやこれは面白かった^^富豪のミステリー作家の謎の死に遺産巡りのドロドロなお家騒動と、日本でもこういうのは割と使い古されていそうな展開なれど、主演のダニエル・クレイグをはじめとした実力派の俳優陣による演技に加え、色んな伏線が張られた謎解き要素に自分も釘づけにされた次第♪
監督のライアン・ジョンソンはなんでも本作をアガサ・クリスティに捧げる意味でも作ったそうなんですが、残念ながら自分はアガサ・クリスティの作品はあんまり詳しくないですし、むしろ最初に犯行をつま開きにして名探偵がどんどんと事件の謎を紐解きながら真相に向かっていくような進行が個人的には刑事コロンボのそれに近いものがあったので、アガサ・クリスティよりも自分はコロンボの雰囲気を真っ先に思い浮かべてしまったりなわけで・・w。
犯行の手口も観てる側からすればすでに理解しているので、いつバレるとも知れない犯人側の焦燥感を一緒に体験する感じもそう見えてしまった理由でもありますが、ただ本作はそこにもう一工夫の謎が仕込まれており、一見して真実がすでに明らかになっているものの、実はその裏に更なる思惑が覆い隠されていて、その全てが明らかになった時は見落としていた伏線も一つの線のようになってなるほどと納得っ。『通』ぶるほどミステリー映画作品を網羅してるわけではないですからこの真犯人の正体にしても普通に驚いちゃいましたし、そして知った上で改めてその真犯人の態度や言動を振り返るとストレートな物言いなんかも色々なヒントになっていた感じで面白かったですね。・・・もっとも、あれでピンと来て怪しいと思う人がどれだけいるかは分かりませんけど・・^^;
クラシック漂う作風ながらもセンスある演出や会話劇にはかなりのめりこんじゃいましたし、舞台となる屋敷のデザインもこれまた観てて飽きず且つ富豪一家の騒動も『あっちゃ~』とか思いつつもそのお約束のような展開をほくそ笑みながら楽しんでいた自分もいたりだったので、総じてとても見応えがあったと思うナイブズ・アウト♪・・・ただまあ欲を言っちゃいますと、主人公であるブノワが劇中だと結構有名な名探偵でもあるからでしょうか、いささか説明不要の体もあって人物像が不明瞭にも思えたのもありましたので、少しばかり掘り下げる名目でも彼を中心にしたシリーズ化を望みたい部分も無きにしも非ずではありますね。ダニエル・クレイグも個人的にはハマリ役に見えちゃいましたから、ボンド役の次は名探偵としてまた活躍するのもよいのではないでしょうか?