ドクター・スリープ

【監督】マイク・フラナガン
【出演】ユアン・マクレガー/レベッカ・ファーガソン/カイリー・カラン/カール・ランブリー/ザーン・マクラーノン
【公開日】2019年11月29日
【製作】アメリカ
【ストーリー】
40年前の惨劇を生き延びたダニーは、心に傷を抱えた孤独な大人になっていた。父親に殺されかけたトラウマ、終わらない幼い日の悪夢。そんな彼のまわりで起きる児童連続失踪事件。ある日、ダニーのもとに謎の少女・アブラからメッセージが送られてくる。彼女は特別な力(シャイニング)を持っており、事件の現場を目撃していたのだ。やがて事件の謎を追っていく二人は、ダニーにとって運命の場所、あの呪われたホテルに辿り着く・・・。
『シャイニング』はスティーヴン・キングの原作小説もそれこそ未読であり、スタンリー・キューブリック監督の手掛けた映画作品も確か自分は2~3回くらいしか観てないかそうでないかの薄っぺらさではあるのですが、それでも本作の『ドクター・スリープ』にはそんなかつての恐怖演出を多数散りばめてもいましたから、どこか懐かしさもふつふつとわきつつ、それでいて新たな惨劇の内容にも結構見入ってしまいましたので、個人的にはそんな薄っぺらさも逆に手伝ってかそれほど深い洞察なしにも鑑賞できてとても面白い続編作品になっていたかなと思えた次第。
閉鎖的な舞台ともなっていた呪いの展望ホテルの不穏さに、独特なビジュアルを持っていた邪悪な存在達の恐怖演出、あと明確な解もさほど表示されなかった分観た人それぞれが想像を掻き立てるような背景といったものがシャイニングでは印象に残っているんですけども、本作ではその前作とは真逆というか、結構異なった内容にもなっていた気がしましたね。州をまたぎながら広大な舞台で繰り広げられるダニー達と能力者を喰らう人ならざる異形者との戦いにしても、善悪の対立のようなものがとても明確になっていましたから分かり易い進行にもなっていましたし、正直曖昧(汗)だったシャイニングの能力なんかも強力な力を持つヒロインのアブラを介して派手な演出として見せてもいたので、全体的にはかなりエンタメ寄りにさせた作りにも見えましたね。ドンパチエンタメ系は大好きなので個人的にこの辺りはとても好感を抱く展開でもあった。
・・・まあこう並べるとキューブリック監督の前作とは相反というか反発してる作風にしてるようにも途中までは見えなくもなかったですけど、それでも後半からクライマックスにかけてはちゃんとその前作をリスペクトしたシーンが次々と出て来るから、ファンの方にとっても多分喜ばしい作りにはなってるのではないでしょうか?にわかな自分でも再びあの展望ホテルが姿を現した瞬間心臓のドクドクサウンドさながらに凄い興奮というか高揚感もありましたから、エンタメ寄りな作風にしつつもホラー作品の代表格たる所以もちゃんと取り入れてる感じにも見えました。
あと本作で個人的に強く印象に残った出演者たち・・とりわけ二人の子役がとても良くて、ヒロインであるアブラ役のカイリー・カランは強大なシャイニング能力者なだけに、ユアン・マクレガーが演じてたダニー以上に存在感があった気もしましたね。不気味な異形者にも物怖じせず、むしろ外道許すまじ!と能力を巧みに活かして果敢に戦いを挑んでいくタフな精神力に自分も魅了されてしまったw
もう一人は異形者の犠牲になってしまうブラッドリー少年を演じたジェイコブ・トレンブレイで、この子の断末魔や苦しみの表情はもう脳裏や耳にこびりついてしまうほどにヤバ過ぎた。ジェイコブくんは『ワンダー 君は太陽』でも素晴らしい演技をしてましたけど、本作でもその才能を短い時間ながらもいかんなく発揮していたと思いますね。