ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

【監督】クエンティン・タランティーノ
【出演】レオナルド・ディカプリオ/ブラッド・ピット/マーゴット・ロビー/エミール・ハーシュ/マイク・モー/アル・パチーノ/他
【公開日】2019年8月30日
【製作】アメリカ
【ストーリー】
リック・ダルトンはピークを過ぎたTV俳優。映画スターへの道がなかなか拓けず焦る日々が続いていた。そんなリツクを支えるクリフ・ブースは彼に雇われた付き人でスタントマン、そして親友でもある。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに精神をすり減らし情緒不安定なリックとは対照的に自分らしさを失わないクリフ。この二人の関係はビジネスでもプライベートでもパーフェクト。しかし時代は徐々に彼らを必要としなくなっていた。そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と新進の女優シャロン・テート夫妻が引っ越してくる・・・。
クエンティン・タランティーノ監督は映画に関する知識がとても豊富で、古典作品に対するオマージュや敬意、そして自身の『好き』を目いっぱいに詰め込んだ彼の長編作品を自分もそこそこ鑑賞をしたので一応それなりに分かってるつもりではいるのですが、それでも正直言うと自分の浅い映画知識だとあくまでその雰囲気を感じ取るに留まってるのみでもあったりなので、やはりタランティーノ監督の作品はある程度の予備知識やら予習やらを必要とする部分もまあ無きにしも非ずではありますよねぇ^^;。・・なので今回の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』も自分にとっては相当敷居も高く見えてはいたものの、そうやって変に構えてたのが馬鹿らしくなるくらいに良い意味で色々裏切られた面白さも含まれてはいました(笑
実際本作のストーリー展開の基の一つにもなっていた『シャロン・テート殺害事件』の事も自分は鑑賞するまでは分からなくて、公式サイトにも申し訳程度に記載されていた概要を確認する程度の正に付け焼刃な補完で臨んだわけなのですが、観終ってから思うとその程度で本当に充分だったかなとも感じたほどなんです。1969年の8月9日、シャロン・テートに悲劇が起こるという部分を知ってる事が結構重要で、現実に起こったその日が本作でもクライマックスの一幕として用意されていましたけど、それでもフタを開けて観たらばその現実に起こった悲劇とは何とも程遠いタランティーノ監督の強烈な妄想劇が始まり、付け焼刃知識ながらもこれには自分もしてやられてしまったと同時に笑ってしてしまった^^;・・・考えてみますと『イングロリアス・バスターズ』でも確か第二次大戦時代を基にしながらも型破りというかドンドンとタランティーノ色みたいなものが出ていたので、やっぱりあくまで史実は基にしてるだけであり、大元はタランティーノ監督の独自性が大量に盛り込まれていてとても見応えがあった次第です。
・・・まあ舞台となっていた60年代のハリウッド作品に対するオマージュや時代背景、あとチョイスもおそらく秀逸なのであろうサウンド&ミュージックの数々に関しては世代も大きくずれてるせいか残念ながら懐かしいといった感情がまったく沸いてこなかったのもこれまた正直な所ではありますですが、ただタランティーノ監督の過去の長編作品とのリンクを思わせるシーンなどは色々見つける事が出来まして、それはレッド・アップルのタバコであったり、リックが持ってた火炎放射器でナチス将校を焼き払ったりだったり、スタントマン役でまたカート・ラッセルだったり、そしてクリフがヒッピー共に苛烈な反撃に転じたりと、少なくとも往年に思いを馳せれなかった分はタランティーノ監督の世界観の共有を発見する事で自分なりに楽しむことが出来た気がしますね。
後は出演者であり、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの二大スターによる共演♪個人的にはもうこの二人だけで本作を観る動機にもなってましたし価値もまた然り。シャロン・テートを演じてたマーゴット・ロビーのパートはちょっと退屈でしたけど、レオとブラピが演じてたリックとクリフの二人のパートは哀愁あり不穏あり友情ありととても面白い描写ばかりだったから、3時間近い上映でも自分は全く飽きなかったのでした。