アルキメデスの大戦

【監督】山崎貴
【出演】菅田将輝/柄本佑/浜辺美波/笑福亭鶴瓶/小林克也/小日向文世/國村隼/橋爪功/田中泯/舘ひろし
【公開日】2019年7月26日
【製作】日本
【ストーリー】
1933年。欧米列強との対立を深め、軍拡路線を歩み始めた日本。海軍省は世界最大の戦艦を建造する計画を秘密裏に進めていたが、省内は一枚岩ではなく、反発する者もいた。航空機が主流になるという自論を持つ海軍少将・山本五十六は、巨大戦艦建造がいかに国家予算の無駄遣いか、独自に見積もりを算出して明白使用と考えていた。そこで山本が目を付けたのが100年に一人の天才と言われる元帝国大学の数学者・櫂直。だが櫂は数学を偏愛し、大の軍隊嫌いという一筋縄ではいかない変わり者だった・・・。
本作の公開時は個人的な勉強期間とも重なっていたので鑑賞するタイミングが大分遅れてしまいましたけど、これは見逃さないで正解でしたね。とても興味深くそして面白い作品だった^^
戦争を題材にしている作品は内容がやはりどこかデリケートであったり重厚にもなったりする分、色々言葉足らず且つ知識が足りない自分にとってはあまり率先して観ようとする感じではないのも正直な所ではあるんですが、ただ本作はそうして敬遠してしまうとこを少し崩してくれているような要素もあってか、良いエンタメにも仕上がっていたんですよねぇ。・・興味深かったのが戦争そのものというよりは、その戦争をする上でも必要な軍事費・・当時の切迫していた国の予算といった経済面に焦点を当てている部分であって、そこから軍組織内での航空機主力派と戦艦建造派の対立のお話も濃密に絡めてて見応えアリ。原作となっている漫画作品の方は生憎と未読ではあるものの、原作者があの『ドラゴン桜』などを手掛けた三田紀房先生とも知ると、作風にもどこか納得が出来た次第。戦艦大和自体にしても、日本国民全体の戦争意識を変えるための言わば人柱的な役目を背負った存在と、他の戦争映画作品とは随分異なる視点で捉えていたのも斬新なのですが、この辺りもまた妙に説得力のあるものに聞こえてしまったものですから、それが手伝って後半までずっと見入ってしまったのでした。
あとキャスティングも主人公の櫂直役を演じていた管田将輝君の演技はお見事でしたね。数学を偏愛するあまりに突飛で異常な行動を取る事も多いので、その変人のような人物を時に喜々として演じてもいれば、終盤の会議室では大御所俳優らが一堂に介している場において白熱の大舌戦を繰り広げるので、彼の熱演もやはり本作の見応えに一役買っていた気がします。