ヴェノム

【監督】ルーベン・フライシャー
【出演】トム・ハーディ/ミシェル・ウィリアムズ/リズ・アーメッド/スコット・ヘイズ/リード・スコット/ジェニー・スレイト/メローラ・ウォルターズ/エミリオ・リベラ
【公開日】2018年11月2日
【製作】アメリカ
【ストーリー】
敏腕記者エディ・ブロックは人体実験で死者をだしているという<ライフ財団>の真相を追う中、ある最悪なものを発見し、接触してしまう。それは<シンビオート>と呼ばれる地球外生命体だった。この意思を持った生命体との接触によりエディの体は寄生され、その声が聞こえるようになる。「一つになれば、俺たちはなんだってできる」とシンビオートはエディの体を蝕み、一体化し、ヴェノムとして名乗りを上げる。ヴェノムはそのグロテスクな体で容赦なく人を襲い、そして喰らう。相手を恐怖に陥れ、目玉、肺、そしてすい臓…体のどの部位も喰い尽くす。エディは自分自身をコントロールできなくなる危機感を覚える一方で、少しずつその力に魅了されていく・・・。
原作コミックの方は知りませんけど、ヴェノムという存在は自分の好きな格闘ゲームの作品なんかにも登場したりすれば、こういった映像作品にしてもやはりサム・ライミ版の『スパイダーマン3』でヴィランとして登場した姿なんかも思い浮かべたりはしますからビジュアル等に関しては見慣れた感みたいなのもあったりはするのですが、ただその『見慣れた』はあくまでヴィランとしてヒーローの前に立ちはだかるいわば外面だけのような印象でもだったので、どこから来てどういう風に活躍するのかという本作のヴェノム誕生物語は、自分の持ってるヴェノムのイメージが随分変わってとても興味深く鑑賞できた次第^^
面構えも凶悪ですし、図体も大きく、全身も漆黒のカラーで覆われているもんですから自然と第一印象は悪者のイメージが定着しそうってものですし実際自分も途中までは上記の既存イメージが脳内に留まっていたのですが、主人公のエディに変化が訪れてからはどんどんとその既存イメージが崩れていき、観ててとても面白かったんですよねぇ。本作に登場する地球外生命体のシンビオートは寄生する宿主によって性格や力が異なってくるとのことなので、ヴェノムもエディに寄生した事によってハラヘッタハラヘッタニンゲンタベルーから徐々に人間のような感性も抱くようになってきて、本来の残虐な性格がエディに触発されて次第に丸くなってくる部分なんかはとても新鮮。でも宿主であるエディは悪人ではないけど、自分が正しいと思った正義の行為が他者に及ぼす影響を顧みないちょっと独善的な一面も見て取れたので、丸くはなってもその辺りが誰に対しても容赦がないヴェノムのアンチ・ヒーローっぷりを体現してるのかもしれませんね。
あとアクションシーンも好みなとこがありまして、前半のカーチェイスなどは特に良かったですね。シンビオートを触手状にした変幻自在で予想外の動きはスパイダーマンのウェブ・スイングとはまた違った魅力があってとても興奮しましたし、筋肉ムキムキのヴェノム状態では打って変わって力任せなパワーファイターともなってかなり荒々しく、その暴力性が全面に出てて圧倒されます。・・が、後半のライオット戦に関してはシチュエーションが真夜中でヴェノムも全身真っ黒なせいか、シンビオート同士のバトルは正直どういう取っ組み合いをしてるのかあまり分かりませんでしたねぇ。もうすこしスピード落としてくれれば助かったのですけど・・・ヴェノムとライオットが互いの宿主から一時的に離れてまるで荒波のようになるスローなシーンとかは凄いカッコ良かっただけに、部分的に少々勿体ないシーンもあったかなぁという感じでした。
・・けどまあチラホラな不満点こそあれど、今回のヴェノムは原作知らずな自分の薄っぺらヴェノムイメージにかなり肉付けをしてくれたという意味では当然見応えはありましたし、ロールシャッハ風のクールなエンドロールや青白い炎をまき散らすドローン爆弾など、細かい部分でも個人的にツボにハマった要素も多かったので、総じて見ればやはり面白かったとも思いますね♪
あとそういえばマーベル作品にしては珍しく(?)本作はアベンジャーズ関連のキーワードが何も出て来ないのも気にはなりましたが、ひょっとしてMCUの流れには加わらないのでしょうかねぇ?まあ単独で突っ走っても別に問題は無い気もしますが、それでも誰かと協力しないと多分最後に出て来たカーネイジはヴェノム一人だと荷が重すぎる気がしないでもなくです・・(;´д`)