メアリと魔女の花

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【監督】米林宏昌
【声の出演】杉咲花/神木隆之介/天海祐希/小日向文世/満島ひかり/佐藤二朗/遠藤憲一/渡辺えり/大竹しのぶ
【公開日】2017年7月8日
【製作】日本

【ストーリー】
赤い館村に引っ越してきたメアリは、森で七年に一度しか咲かない不思議な花『夜間飛行』を見つける。それはかつて、魔女の国から盗み出された禁断の魔女の花だった。一夜限りの不思議な力を手に入れたメアリは、雲海にそびえ立つ魔法世界の最高学府・エンドア大学への入学を許可されるが、メアリがついたたった一つの嘘が、やがて大切な人を巻き込んだ大事件を引き起こしていく・・・。
 
【感想】
原作の方がもともと良かったというのもあるかもしれませんが、『借りぐらしのアリエッティ』や『思い出のマーニー』など、米林宏昌監督が手掛けた前2作は個人的にとても好みなジブリ作品だったので、今回の最新作であるメアリも内心ではとても楽しみにしていた作品だったりします。・・まあ残念ながらスタジオジブリの方はもう既に解散しちゃってはいますけど、それでも新たなアニメ制作会社で作り上げた米林監督の三作目は、そのジブリ作品の精神もきちんと引き継いでいる事を垣間見せてくれた感じもしますね。

不思議な花・夜間飛行を偶然見つけた事で魔女と魔法の存在を知る事になった少女・メアリの物語は壮大・・・・という所まではいきませんが、異世界での大冒険を通じながら彼女の成長模様も描いた手堅いファンタジー作品になっていたんじゃないかなと思いますね。米林監督が手掛けた作品で括りますと、大人びててどこか大人しめな雰囲気もあったアリエッティや杏奈と比べ、今回のメアリはその二人と随分真逆な性格でして、行動に空回りも多いけど活発な女の子で自分はとても可愛いく見えましたね。魔女の力を得てホウキに揺さぶられながらパニックになったりとか、コンプレックスの容姿をピーターにからかわれて腹を立てる仕草とかとか、彼女の喜怒哀楽の変わりぶりも観てて素直に楽しいものがありましたし、声を充てていた杉咲花さんが中々に適役だったというのも要因の一つかもしれない♪
あとお話の方もそれほど複雑には思えなかったので、子供にもとっつき易い感じには見えたかな。マダムやドクターの野心もあからさまとこがあってそこもまあ分かり易かったですし(笑)、いい年こいて未だにドラえもんやポケモンも観てるからでしょうか、幼子がなにくそと必死こいて頑張る姿におじさんもちょっとグッときてしまうのだw
・・ただ欲を言えば冒頭で出て来た赤毛の魔女・・でしたでしょうか?彼女が地上に落下した後日事が殆ど描かれてもいなくて、どこかポッカリな空白にもなっていた為、夜間飛行のことほっらかしで良かったんかなぁ?マダムも地上に降りて探しに行かなかったんかなぁ?という邪推な考えも浮かんでしまった自分。まあ別にストーリー進行の弊害になっていたわけでもないですから些細な事であるにはあるのですけどねぇ^^;原作にはちゃんと説明されているのかもしれませんね?


手描きを中心にしたアニメーションなどもCGに負けないくらいにキャラの躍動感が出ていたと思いますし、アクションの迫力も申し分なかったので、そういった表現方法も米林監督らしいというか、どこかジブリらしさが出ていた本作。色んなシーンや登場人物の雰囲気は確かにその某ジブリ作品とダブっていた・・というよりダブリ過ぎてる感もありましたが、自分はそれが二番煎じや鼻についたものではなく、『似てる似てる』と心の中でほくそ笑んでた気持ちにもなっていたので、むしろ本作に見え隠れしていたジブリ作品との酷似性は良いオマージュとしてポジティブに捉え、今回面白く鑑賞した次第♪
・・でも次回からはスタジオポノックとしての独創的な『何か』を見せ付けて欲しい気はしますね。
 

8 Comments

ノラネコ  

こんばんは

良くも悪くも「手堅い」という形容詞が前面に出てくる作品ですよね。
まあ新スタジオの一発目としては十分かなあという印象です。
真価が問われるのは、二作目でしょうね。
アリエッティ、マーニーでポテンシャルは確認済みだけに、次が楽しみです。
二作目は別の監督の可能性もあるけど。

2017/07/18 (Tue) 21:57 | EDIT | REPLY |   
メビウス  

王道

>ノラネコさん♪

ファンタジーで少年少女の物語でと、確かにどこか王道で手堅い内容でしたよね。それに観た感じスタッフもまだ『癖』みたいなものが抜け切れてないのか、ジブリ既視感も良い意味で見応えがあった気がしますね。似てる人を探すような見方もできて面白かったですしw
次回作も心待ちにしたいですね^^

2017/07/19 (Wed) 22:58 | EDIT | REPLY |   
Ageha  

No title

こんばんは、たびたびお引っ越ししてどうも。
またゆるゆる更新してまいります。どうぞよろしく。

ジブリで培ったものがそのままでるのだから
既視感は否めないですね。
ついでにいえば、エンドロールの作り方も
スポンサーも、宣伝の仕方もと
ある意味ジブリがやっぱ助けてあげたんちゃうんかなってのもあって、その時のつながりでもって
たくさんのひとに助けられてできました感があって、
スタジオを立ち上げても
まだまだ独り立ちしてないような気もしました。
絵は美しいのに、個性が出せないってのは
・・・なんかかわいそうな気がしました。
ジブリじゃんかって言われないようになるまでの
闘いのほうが大変そうですね。

2017/07/28 (Fri) 00:17 | EDIT | REPLY |   
メビウス  

お疲れ様です

>Agehaさん♪

ライブドアのTB中止の報で色んなブロガー様がバタバタしてましたもんね^^;そんな中平常運転な我がFC2ブログは運が良いと言うべきなのか?・・なんにせよ今度は同じブログとして宜しくお願い致します♪


そういえば某映画雑誌で読んだのですが、ジブリ的な表現が本作に出てるのは、やはり20数年もジブリにいたから染みついちゃっているというのが米林監督談。
癖と言うものはやはりそう簡単に払拭できるものではないでしょうから、一作目はジブリぽくてもまあ許容範囲かなと思い始めてる今日この頃ですw

2017/07/31 (Mon) 19:59 | EDIT | REPLY |   
ボー  

大叔母さんが、

花を見たときの反応で、あ、彼女が、あの魔女か!と気づきましたが、そうするとメアリも魔女の血筋? 次回、魔女メアリの大活躍!(ないない)

2017/09/11 (Mon) 22:40 | EDIT | REPLY |   
メビウス  

気にはなるのですが・・

>ボーさん♪

あの人が冒頭の魔女ならば、血縁の関係からやはりメアリも?って事にはなりますよね。でもその気になる部分・・要はあの魔女が地上に落ちて以降の過去が本編だとすっぽり抜け落ちているので、そこが正直煮え切らない所でもあるんですよねぇ。原作も未読ですから気になると言えば気になります^^;

2017/09/13 (Wed) 21:00 | EDIT | REPLY |   
ヒロ之  

こんにちは!

メビウスさん、こんにちは!
CGアニメ全盛期ですけど、こういう手描きアニメもまだまだ捨てがたい。
クリエイター達の魂が乗り移っているっていうんでしょうか、画も話も綺麗だと、観ている私の心も綺麗に洗われます。
何処かしら「魔女宅」を彷彿させるシーンも見受けられましたが、善悪をはっきりとさせつつ主人公が果敢に立ち向かい、最後には普通の生活へと戻っていく。
これこそが宮崎駿の考えを受け継いだスタッフだから出来る温かみ。
メアリちゃんも可愛かったし、仰るように物語もシンプルなので、安心して楽しめる作品でした。

2018/03/21 (Wed) 13:16 | EDIT | REPLY |   
メビウス
メビウス  

これからに期待

>ヒロ之さん♪

ジブリ畑のスタッフさんたちが殆どらしいですので雰囲気こそジブリ作品寄りにもなっていますが、同時にジブリ作品にある手書きアニメーションなどの魅力もつまった良いデビュー作品だと自分も思いました^^

まあまだジブリ感は抜けてないでしょうけども、その辺りはやっぱり作品を作り続けていくうちにスタジオポノックらしい独特なアニメーションになっていくんじゃないかと思いますので、個人的には長い目で見ていきたいですね。米林監督の作品も好きですので^^

2018/03/23 (Fri) 23:21 | EDIT | REPLY |   

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