【監督】ジェームズ・マンゴールド
【出演】ヒュー・ジャックマン/パトリック・スチュワート/ボイド・ホルブルック/スティーブン・マーチャント/ダフネ・キーン
【公開日】2017年6月1日
【製作】アメリカ

【ストーリー】
すでにミュータントの大半が死滅した2029年。長年の激闘で心身ともに疲弊しきったローガンは、もはや不死身の存在ではなかった。超人的な治癒能力は衰え、生きる目的さえ失った彼は、雇われのリムジン運転手として日銭を稼ぎ、メキシコ国境近くの廃工場でひっそりと暮らしている。その廃工場には衰弱しきって能力をコントロール出来なくなったチャールズ・エグゼビアと、太陽光の下では生きられないミュータントのキャリバンもいた。そんなある日、ローガンはヒスパニック系の看護師ガブリエラから、ローラという謎めいた少女をカナダに国境を接するノースダコタまで送り届けて欲しいという依頼を受ける。しかし、それは新たな災いの始まりでもあった・・・。
 
【感想】
特殊能力を備えた者達の様々な戦いや葛藤をドラマチックに描いてきた映画『X-メン』シリーズ。その中でも中心的に活躍し、スピンオフ作品も公開されたりと、シリーズ通しての主人公とも言えるような存在がヒュー・ジャックマンが演じるアダマンチウム爪を持つミュータントであるウルヴァリンことローガンですね。新作が出る度にその野獣のような暴れぶりに毎回興奮を掻き立てられ、そして数々のミュータントバトルも彩ってきた立役者の一人ですが、そのウルヴァリン激動の人生も本作で以って遂に完結を迎えるとの事なので是が非でも観なければいけないと思った作品。いやはや、やはり良かったですねぇ。戦いに明け暮れ、肉体精神共に多くの痛みを抱えた彼の最後の勇姿に自分も感動を与えられたといったところっ^^

今回はアクションが盛り沢山な派手目の映像などは殆ど見られなく、代わりに描かれているのはローガンとプロフェッサー、そしてひょんなことから保護をする事になった少女・ローラとの逃避行のようなロード・ムービー仕立てになっていたのが特徴的で、これは従来のシリーズなどと比較すれば明らかに大きく異なっている内容でもありました。・・またX-メンで中核を担っていた頼れる男と指導者も本作ではかつての面影をまるで残しておらず、ローガンは酒に溺れ・咳き込みも酷く、特殊能力の治癒能力も著しく減退。一方のチャールズもやや痴呆気味に加え、得意のテレパシーも薬を処方しなければ暴走してしまうという危うさにもなっており、そんな二人の老いて枯れ果てたような姿を序盤からいきなり見せ付けられもするから、長年二人の活躍を観てきた自分も二人の老後の悲惨さには結構ショックを受けてしまう程でしたね(汗)。・・・とまあこの時点で自分がこのシリーズに求めてる楽しさと言いますか、ドンパチ諸々がまるっと無くなってしまっていて、それもまあ一つのショック所でもありましたが、それでもお涙頂戴になるほどの見応えを感じたのは、このロード・ムービーな進行を通してウルヴァリン=ローガンのこれまでの苦悩や孤独な心・・そういった彼の内に秘めた哀しみの感情などをちゃんと映し出していたというのもあるからだと思う。

ローガン・チャールズ・ローラの三人が、追手から逃れるためにあるのかも分からない『約束の地』という場所へ向かう今回の旅では、次第にローガンとローラの絆を深めさせ家族に近い形を育んではいきますが、ローガンとローラのやり取りって全体的に見ればそれほど良好な関係にも見えなかったりはしたんですよねぇ?^^;似た者同士なせいかむしろ反発が反抗の方が強く出ていて、親子らしくハグをするわけでもないし、ローラの方は後々積極的にスキンシップを図って自分からローガンと手を繋ごうとするシーンもあったりだけど、当のローガンはそんな彼女の触れ合いを頑なに拒んだりする始末。
まあこれまでの彼の交流関係やその結末を知っていればそんな拒否反応もなんとなく理解は出来るわけで、一人がいいと声高に語る彼の言葉にその苦しみや悲痛さも滲み出ていましたね・・。ただ大切なものを持つ度に失ってきた過去を持っているからこそ、己の身を顧みずに幼子を守る彼の姿なんかにもやはり自分も胸を打たれたわけでして、ミュータントパワーで次々となぎ倒していくようないつものパターンでもない分、命の灯が消えかけるような必死さもビッシビシ伝わってくるんですよねぇ。
まあ見過ごせない状況だから助けに行ったという体もありますけど、それでも端から見れば親が子を全力で守ろうとするどこか普遍的な姿にも見えたので、そんな関係を最後の最後に持つ事が出来たラストシーン等にはやっぱり自分も堪えられず・・といった感じでしたね。あんなにボロボロと涙を出したのは久しぶりかもしれません。


・・本作はミュータントバトルがたくさん盛り込まれてるわけでも無かったですし、R指定も受けているためシリーズの中でも屈指のバイオレンス描写は『ウエッ』とどこか眉をしかめてしまう場面だって無きにしも非ず・・。ましてや全世界や人類の危機といった壮大なストーリーでも無く、一人の男の全くこじんまりで悲哀に満ち満ちた物語と、正直彼の終点がこんなもので良いのか?とも考えなくはなかったですねホントに^^;
でも上記の要素を満たしたらそれこそいつものX-メンシリーズな気もするし、そのいつもの感じで描いたらやはり彼だけに焦点を当てるのが難しいのも何となくは想像できるし、何よりそうなってしまったらローガンではなくウルヴァリンの物語で完結してたはずですから、そういうのもポクポク~・・と考えたりするとロード・ムービー風であったり、アクション過多にせず人間ドラマに比重を置いたことなど、色んな異色を取り入れたこの『ローガン』は、能力者ではないただの人間・ローガンとしての物語がとても新鮮に見えたというのもあったので、それがまた見応えと感動を与えてくれたんじゃないかなとも思ったりしました。
そして足掛け実に18年。思えば自分もこのX-メンのウルヴァリン=ローガンというキャラクターを通して俳優ヒュー・ジャックマンを知った一人なので、その彼が演じるローガンの初めてと終わりをちゃんと鑑賞出来たこともどこか感慨深かったりはする。マーベル作品はシリーズの連作も多いため食傷気味云々を口酸っぱくなるほど言ってはいる自分なのですが、本作を観た後だと長ければ長いほど思い出の補正も凄い事を再確認したので、考えを改めるべきかとも思ってしまったりですね^^;

ヒュー・ジャックマンも本当にお疲れ様でした。良作ー♪
 

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No title

こんばんわ。
もはやアメコミ作品とは言えない出来栄えでしたね。
まさかローガンやチャールズの老いを目にするとは思ってもいなかったのでちょっとショックでした。
しかも他の仲間はどうしたの?という謎も。。。

今後はローラの活躍に期待したいところです。

感慨深く

>えふさん♪

確かに自分たちの知ってるアメコミ作品のイメージとは大分違う作風になってましたね。ローガンは^^本当に彼のみに焦点を当てた内容は初見者を寄せ付けない雰囲気もありはしましたけど、初期のX-メンから観ている人たちからすれば実に感慨深いものもあったので、個人的にも凄く良い作品だったかなと思ってます♪

ローラの活躍は近い将来見てみたいですよね。別な女優さんでもいいけど、成長したダフネ・キーンちゃんが続投して欲しいという気持ちも・・^^;

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