ザ・コンサルタント

【監督】ギャビン・オコナー
【出演】ベン・アフレック/アナ・ケンドリック/J・K・シモンズ/ジョン・バーンサル/ジョン・リスゴー/シンシア・アダイ=ロビンソン/ジェフリー・タンバー/ジーン・スマート
【公開日】2017年1月21日
【製作】アメリカ
【ストーリー】
田舎町のしがない会計コンサルタント、クリスチャン・ウルフに舞い込んだ大企業からの財務調査依頼。彼は重大な不正を見つけるが、何故か依頼は一方的に打ち切られる。その日から何者かに命を狙われるウルフ。実は彼は、麻薬カルテル、武器商人、殺し屋、マネー・ロンダリングの達人など、世界で最も危険な顧客を抱える裏社会の掃除屋でもあった・・・。
凄腕の暗殺者が身分を隠す名目で別の経歴を持つみたいな設定の作品はたくさんあるとは思いますが、会計コンサルタントというお固い職業はどこか珍しくも思いましたし、何より謎めいた雰囲気を醸し出しているストーリーのようだとも予告編から感じ取ったので鑑賞しましたらこれは個人的には面白かった♪ベン・アフレック扮するクリスチャン・ウルフが漂わせる異質さにも目が離せなかったサスペンス・アクションでしたねこれは。
でも最初こそ殺し屋の顔を持つウルフが会計士という堅気の職業をこなすかたわら、自身の障害になる者ををバッタバッタとなぎ倒していくような展開・・・少なくとも予告編のみの知識しかなかったので自分はそう思ってもいたんですよねぇ。実際その考えは存外的外れでもなかったのですけど、ただ自分はその『バッタバッタとなぎ倒していく』がもっとボリュームがあるものかと思っていたので、その辺りはちょっと期待していたものとは違っていましたね。・・だけどガッカリとかでは無いのです。
どっちかと言うと本作は主人公・ウルフの生い立ちや経歴を辿る事にどこか終始していて、その素性を捜査官が探っていく一方、危険な仕事をこなす彼の真意にも触れていくといった感じにも見えたのですが、本作はその進行時の演出と言いますか、見せ方や伏線が上手くて見応えがあった気もしたんですよねぇ。本作を観てる最中に自分は度々『んん?』と思うシーンも幾つかありまして、それは冒頭でなんで主観のような視点なんだろうかーとか、ウルフの物語のはずだけどなんで回想では弟も頻繁に出てくるんだろう?とかそういう類なのですが、でも実はそれらもちゃんとした意味があっての事だというのを後半に理解できて『なるほどっ』と不思議と気持ちよく頷けるものがあった(弟くんはアレだけど・・^^;)。他にもウルフに携帯から指示を出す謎の女性の正体やウルフの使用している偽名など、細かい部分もちゃんと紐解きを施しているのが良かったですね。
また本作は個人的にベン・アフレックの演技やアクションも見所の一つだと観てて思いましたね。クリスチャン・ウルフは自閉症を患っているという設定で、鑑賞するまでは自閉症の事も殆ど詳しくなかったのですが、その特有の症状や仕草を知りつつベンの一挙手一投足を見ると本当に演技上手いなーと改めて感じる所でもありましたし、対話がおぼつかなかったり視線逸らしたり両手に軽く息を吹きかけるルーティンのような行為なんかも独特で目に焼き付いてしまう。あとボリュームが無いとも言ったアクションではありますが、こちらは量より質と言えばいいのか、その分ベンのアクションの動きはかなり洗練されていてこれもまたメチャクチャカッコ良かったですね。なんか親友のマット・デイモン(ジェイソン・ボーン)とどっちが強いんだろうと変な妄想もしてしまいましたw
・・まあド派手な感じ(カーチェイスとか)もやはり当初は想像してただけにアクションが物足りない言うのも正直なとこではあるものの、それでも本作は几帳面なウルフの性格とどこか似てて、作りに無駄がそれほど無く、観る側が疑問に思う部分とかはちゃんと払拭させてくれる堅実さもあったように思えたので、確かにパズルを完成させた時のようなスッキリ感を味わう事は出来るのかもしれませんね。
でも個人的に本作に対して一つだけ不満を持つとしたら・・・それはウルフの部屋にあったあの点滅するライトですね。あれだけはアカンかったです--;