ラン・オールナイト

【監督】ジャウム・コレット=セラ
【出演】リーアム・ニーソン/ジョエル・キナマン/ビンセント・ドノフリオ/ニック・ノルティ/ブルース・マッギル/ジェネシス・ロドリゲス/ボイド・ホルブルック/コモン/エド・ハリス
【公開日】2015年5月16日
【製作】アメリカ
【ストーリー】
殺し屋として闇の世界に生きるジミーは、仕事のために家族を捨て一人息子のマイクとも疎遠になっていた。しかしある日、殺人現場を目撃して殺されそうになっていたマイクを救うため、NYを牛耳るマフィアのボスの息子ダニーを射殺してしまう。ボスのショーンとは固い絆で結ばれた30年来の親友だったが、息子を殺されたショーンは嘆き、怒り、ジミーに宣告する。「お前の息子を殺して、お前も殺す」と。朝が来る前にジミーたちを葬ろうと、ニューヨークは今街中が敵となった。父と子の決死の戦いが始まる・・・。
2009年の『96時間』以降凄い強いオヤジという役柄が多いためにイメージがそちら側の方へと定着するようにもなったリーアム・ニーソンですが、今回の作品でもかなり強いオヤジを演じてるため既存のイメージが益々色濃くなってきてるような気がしますね。・・そうなると本作もマンネリなトコが危惧されがちですけども、内容自体はそれほど悪くなくて、アクションあり、カーチェイスあり、男の渋さありと、堅実なアクションエンタメに見えましたね。
長年マフィアの殺し屋として裏社会で生きて来た男・ジミーと、そのジミーを父に持ち憎しみを抱いている息子・マイクのノンストップな父子逃亡劇は、それこそ前半は二人ともあまり交わる事が無く進行するので少し焦らされている所もありますが、それでも一番最初に映し出されていた危機的状況な一場面なんかを思い浮かべると、これもまた嵐の前の静けさなのかなといった感じもしてワクワクする部分もあったりしましたね(まあどういった原因でトラブルかは分かり易かったですけども^^;)。
事件が起きてからニューヨーク中を駆け巡る展開も、周囲が敵だらけで味方も殆どいないと言う四面楚歌な分中々にスリリングな状況も続いて面白かったと思う。車が混雑してる中での怒涛のカーチェイスに、警察が包囲する高層住宅内を舞台にした最強暗殺者とジミーの死闘、そして霧が立ち込める湖畔での静かなる決戦と、各シチュエーションも個人的には観てて悪くなく、あとアクションの合間にはジミーとマフィアのボス・ショーンとの確執やマイクとの父子関係を描いたドラマも見応えを感じたほど。
ジミーとショーンの対決は旧知の仲でありお互い親でもあるからか、例え子供がどうしようもないクズ&憎しみを抱かれていたとしても、父親の立場としてはやはり無視する事が出来ず、どんな事をしても仕留める&守るという二人の父親の相反する意地のぶつかり合いみたいな部分が面白かったですし、その二人の決着の付け方もこれまた渋さが滲み出ていてカッコいいんですよねぇ。またマイクとの父子関係も改善の兆しはそれほど見受けられないものの、自分と同じような汚れた道を息子には歩ませまいと、逃亡中でも『絶対に銃を撃つな』と引き金を制止するシーンも何かと印象的だった。今回のリーアム・ニーソンのオヤジパワーって観た感じ最強ではなくギリギリな戦いも多かったですし、後半につれて怪我も増えていったため絶対窮地に陥った所でマイクがジミーを救うため土壇場で銃を撃って相手を殺してしまう・・・なんて壮絶な場面も悶々と想像してただけに、最後の湖畔のシーンまで自分は緊張感が持続していましたね。
その最後も和解しての終わり方ではなく、ずっと呼び捨てにしていたマイクが一度だけ『父さん』と呼ぶ〆方も結構感動できた次第です。
そいえば昨年の『フライト・ゲーム』と『アンノウン』をつい最近観たばかりなのですが、ジャウム・コレット=セラ監督とリーアム・ニーソンのタッグ作は個人的になんだかすこぶる相性が良くて二作品とも面白かったんですよねぇ。本作もまたアクションだけじゃなくドラマパートも気に入ったので、今の所タッグ作の中では一番良かったようにも思えました。