ジュピター

【監督】アンディ・ウォシャウスキー/ラナ・ウォシャウスキー
【出演】チャニング・テイタム/ミラ・クニス/ショーン・ビーン/エディ・レッドメイン/ダグラス・ブース/タペンス・ミドルトン/ペ・ドゥナ/ジェームズ・ダーシー
【公開日】2015年3月28日
【製作】アメリカ
【ストーリー】
偉業を成し遂げる宿命を持つ星座に生まれながら、現実には毎日ひたすら働いていたジュピター。ある日、何者かに襲われた彼女は突然現れた強靭な戦士・ケインに助けられる。そして、自分が宇宙最大の王朝の王族だと知らされる。王朝では三人の継承者が覇権めぐり争っており、亡き母と同じ遺伝子配列を持つジュピターが生まれ変わりとして引き継ぐ地球を狙っていた。10万年前から支配してきた人類を滅ぼそうとしているのだ。身分違いのため決して結ばれない運命のジュピターとケインは、ともに人類の危機に立ち向かう・・・(Movie Walker)。
『マトリックス』3部作から約12年ぶりとなるラナ&アンディ・ウォシャウスキー監督による新しいオリジナル作品で、3月の公開映画の中で実は個人的にとても楽しみにしていた作品でした。やはり予告編であれだけワクワクする映像を見せられてしまうと、姉弟はまたやってくれるのではないだろうか?という期待も出てしまうわけで、鑑賞時間もわざわざ調節して3D上映で臨んだのですが・・・・がっ。こ、これはちょっと騙されてしまったのかもしれませんねぇ(汗
先ず楽しみにしていた映像面諸々は本当に凄いのです。一匹狼の屈強な戦士・ケインと傭兵たちによる冒頭のバトルに始まり、シカゴ上空で重力制御のブーツ&シールドを用いた激しいチェイスや戦闘機による目まぐるしい空中戦。あと宇宙に舞台を移してからはSF色も一層濃くなり、荘厳な建造物に巨大戦艦などもバンバンと出て来ますから、そこら辺は確かに期待通りで自分の琴線に触れたカッコイイ映像とかも多々見受けられました。
ですが本作はぶっちゃけると『それだけ』という感じが強いんですよねぇ・・。ストーリーの方も謀略がひしめく内紛モノでもあったので二転三転な展開とかありそうで面白そうにも思えたものの、フタを開けてみたら割と薄っぺらだった。宇宙を舞台にして壮大でもあるはずなんだけども、全編アブラサクス家のお家騒動しか描かれてもいないので、随分こじんまりな印象も受けた気がする。後半になると長女のカリークと末っ子のタイタスも完全にフェードアウトで、その役割はなんだか収穫物の真相を伝えるためだけの存在にしか見えず、故に悪役として一番目立っていたのはエディ・レッドメイン演じる長男のバレムだけだったようにも思えます(風邪ひいてるのかな?と思っちゃうくらいのカスれ声にもちょっと笑ってしまったり)。
それならば美女(ジュピター)と野獣(ケイン)の恋模様の方はどうか・・・と言えば、こちらも個人的には不完全燃焼。
様々な危機的状況や度重なる落下といった絶体絶命時に颯爽と助けられれば恋に落ちるのもまあ理解は出来るんですが、されど王族と一兵士による身分違いのロマンスという部分はあんまり理解出来なかったんですよねぇ。自分は出来れば一兵士たるケインの背景をもうちょっと明確にしてくれれば良かったかなぁと思い、ショーン・ビーンが演じるケインの上官の口頭だけでは脳内補完が少し難しかった。王族に噛み付いたという理由も凄い曖昧だから、観てる側としては結構歯痒い感じでもありました。
あとそいえばケインは狼のDNAを持つ交配種という設定でしたけども、何故か最後は翼を持った鳥人間になってえぇえー(;゜ロ゜)と仰天してしまったのは自分だけでしょうかねぇ? (汗
まあこう言った原作とかもないような全く新しい作品というのは決まって批判の対象にさらされたり色々こき下ろされたりもするものですから、自分も途中からはイイとこを探すつもりでも鑑賞してたんですが・・やはり本作に到ってはちと擁護のしようがないかも?残念ながら今回はウォシャウスキー姉弟による新たな映像革命とまでは行きませんでしたね。
・・でも映像特化でストーリーぐだぐだというパターンは自分の大好きな『トランスフォーマー』にも言える事なんですが、あっちの方は大好きでなんでこっちは毛嫌いのような感じを抱いてしまったのか自分でもちと不思議。これもDNAのせいにするほかないかw