エリジウム

【監督】ニール・ブロムカンプ
【出演】マット・デイモン/ジョディ・フォスター/シャルト・コプリー/ディエゴ・ルナ/アリス・ブラガ
【公開日】2013年 9月20日
【製作】アメリカ
【ストーリー】
2154年。限られた富裕層の者たちは汚れを排除したスペースコロニー“エリジウム”に、その他の者たちは地球に住んでいた。人口過密となった地球は荒廃し、犯罪と貧困がはびこっていた。マックスも犯罪に手を染めては留置所送りになっていたが、この繰り返しを断ち切るべくアーマダイン社の工場で働き始め、組立ラインに従事する。更生したかに見えたある日、突然の事故が彼の運命を変える。なんとしてでもエリジウムに行かなければならない理由のできたマックスは潜入を試みるが、彼の前に不法入国者からエリジウムを守るデラコート高官が立ちはだかる・・・。
デビュー作でもある『第9地区』が公開当時大きな話題ともなったことで一躍注目の人となったニール・ブロムカンプ監督。個人的に好みな部分(主にドンパチ)を盛り込んでいたので良作でもあったのですが、それでもやはりあれがまだ1作目でしたからねぇ。今思えばどこかすんげ~って感じちゃうのも仕方なかったかもしれない--;
ニール監督自身に関しても好きな監督って言えるほどまだ入れ込んでもいないので、第2作でもあるこの『エリジウム』はどちらかというと『・・1発屋じゃないよね?』という確認の鑑賞の方が大きかったかもしれません(汗
第9地区は人間とエビの姿をした異星人とのいざこざを描いてたと同時に、『差別』という問題も取り上げてエンタメ性と社会性を両立してるかのような内容が興味深かったですけども、この『エリジウム』もどことなくですがその第9地区の設定に見受けられた点が垣間見えてた気がしますね。
『差別』に対して今回はどうやら『格差』がテーマとなっており、貧困層が住む地球と数少ない富裕層が住むスペースコロニー『エリジウム』という関係で人類を分断し、今度はその貧富の差から来る不平等さによって対立構造が生まれてるというとこがちょっと似通ってる感じがしてしまった。二番煎じっぽくもありますが、ただ自分はガンダムが大好きなのもあってか、こういう地球とコロニーでちょっとした不和が生まれているという設定は嫌いではなかったかな?^^;
それに主人公のマックスにしても、最初は自分が治療を受けたいが為でもあったからやや自分勝手にも見えちゃうのですが、次第に格差から生まれる不公平さを失くすために己を投げ打つヒーローへと変わっていく過程なども、第9地区主人公のヴィカスの人物像に近いものがあったように思えました。
アクション要素も前作に比べれば大分パワーアップしているようで、この辺りも自分は好きでしたね♪現実にある社会問題を取り上げてるリアルな側面もある一方で結構凝ったSF世界観を醸し出している面もあるので、出て来る兵器やロボットも割とカッコイイのが多いですし、今回はマックスが装着するパワードスーツなんかが良い例ですね。マックスを付け狙う傭兵のクルーガーに到っては何故か日本刀や手裏剣を装備する日本かぶれな装備で随分変わってましたけど、後半にパワードスーツを付けたら『メタルギアライジング』の雷電を彷彿とさせる出で立ちとなって一気にカッコ良くなってしまったのがなんか面白かったwマックスとの戦いも新旧パワードスーツ対決のような様相を呈していて、ああいう燃える展開も踏まえてる部分も個人的には嬉しかったですね。
そう言えば本作の出演者に関して自分はマット・デイモンとジョディ・フォスターといったかなり有名な人しか覚えていなかったってのもあるのですが、傭兵のクルーガーを演じた人ってあのヴィカス役のシャルト・コプリーだったというのをエンドロールで初めて気付いた自分(汗)ニール監督のお墨付きの役者さんになっちゃったんでしょうか、今度は敵役になってるのもまた面白かったです。
・・しかし近未来の兵器でドンパチするアクションシーンなどが想像してたよりも激しくて良かったっちゃあ良かったりもしたのですが、総じて観ると第9地区の特徴を持った作風というイメージも拭いきれなかったので、真新しさが少なかったかな~・・・・というのをたった2作品目で言うのもこれまた乱暴かな~?と思ったり思わなかったりで・・^^;
まあ作品に対する『こだわり』や恋女房的な俳優さんを多く起用したりする監督さんもたくさんいますけども、ニール監督の場合はもしかしたら差別・貧富・それと善悪とかでしょうか?そういう二極化した世界観を多く活用したりするのが彼の作品の『スタイル』なのかもしれない。あと常連俳優さんで言えばシャルト・コプリーで決まりかな?ニール監督の次回作でもまた出て来て欲しいものですね(笑