【監督】中村義洋
【出演】阿部サダヲ/菅野美穂/池内博之/笹野高史/伊武雅刀/原田美枝子/山崎努
【公開日】2013年 6月8日
【製作】日本

【ストーリー】
1975年、青森県弘前市。リンゴ農家の木村秋則は、妻・美栄子の身体を心配していた。美栄子は年に数十回も散布する農薬の影響で皮膚がかぶれ、数日寝込むこともあったのだ。そんな妻を思い、秋則は無農薬によるリンゴ栽培を決意する。しかし無農薬でのリンゴ栽培は『神の領域』と呼ばれるほど『絶対不可能』な栽培方法。数え切れない失敗を重ね、周囲の反対にあい、妻や3人の娘達も十分な食事にありつけない極貧の生活を強いられる日々。それでも諦めなかった秋則は、11年に渡る苦闘と絶望の果てに常識を覆すある真実を発見する・・・。
【コメント】
自分が木村秋則さんを知ったのは地元のラジオ番組の特集で約5分間の連続ドラマ形式で放送してたのをたまたま聞いてたのが最初で、無農薬栽培に捧げた11年と言う年月の辛さは映像のないラジオからでも想像を絶するものを感じたのを今でも覚えています。関連書籍やテレビの特集もそれから後追いの形で拝見してその偉業と苦闘、そして深い家族の愛も知った次第ですが、本作でもその軌跡は出し惜しみなく発揮されていて良い感動作に仕上がっていたと思いますねぇ♪

ストーリーの方はリンゴの無農薬栽培に挑戦した木村さんの11年の日々を綴った同名ノンフィクション原作の流れに沿った形で進行されていましたが、この辺りは大分忠実に再現されており、加えて結婚式のシーン(木村さん本人もカメオ出演w)といった新しい要素も取り入れたりしてドラマ性の方も強めていた様にも見えましたね。冒頭から始まる木村さんと美栄子さんの馴れ初めに到るまでの過程も、ひとつの事に夢中になるとその他の事が見えなくなる木村さんの性格を知ってもらう上での土台作りのようになっていた感じでもあり、リンゴの無農薬栽培が絶対不可能と呼ばれる肝の部分も『今のリンゴは農薬を前提としたもの』、『無農薬では病気や虫とも戦えない貧弱な植物』という点をまあざっくばらんではありますが知人らの口などから分り易く語られてもいたので一般の人でも理解できる範囲で簡略説明されていたんじゃないかとも思いますし、そしてそれを理解した上で観て行くと、無農薬栽培を始めた頃のあの凄惨たる現状も凄まじいものだと感じることが出来るんじゃないかなと・・^^;病気や菌で葉が次々に枯れ落ちていき、虫の大量発生でリンゴの木が見るも無残な光景となっていく様は地獄そのもので、病害虫は近隣のリンゴ農家にも波及する恐れも高いために周囲の軋轢も生んでと正に絶望のオンパレード。自分もこういった映像を介しての追体験だけで凹んでしまってたほどですから、これをリアルタイムでモロに味わってた木村さんの苦しみはその比じゃないわけで、そりゃ幻聴も聞こえれば自殺未遂もしたくなるってものです(汗)。

ただその苦しみが究極のとこまで行きかけて期間も長かった分もあるでしょうか、『リンゴの木を自然の営みに戻す』きっかけを見つけたあの起死回生の出来事はグッとこみ上げるものがある。音楽を担当してる久石譲さんの曲なんかも娘の雛子の作文のシーンやクライマックスでリンゴの花が一面に芽吹いてるシーンと言ったイイ場面でグワッと盛り上げてもくれてるため、結果が分ってても結局他の人と一緒に鼻すすり族になってたわけでw
それと個人的に今回はキャスティングの方も良かったですねぇ。青森を舞台にした映画ではストーリーの他にも津軽弁の良し悪しなどにも毎回チェックを入れちゃったりしてるのですが、本作では主演の阿部さんを中心にしてみな一様に上手かったと思うし、少なくとも自分は聞くに堪えないというものは無かった。阿部さんってコメディな演技の印象が強いんですけど、それがバカなまでに一直線で破天荒な木村さんの人物像に合ってたんでしょうかね?共演の菅野さんとの夫婦役も仲睦まじさが炸裂しててこれまた良かったです( ̄ー ̄)b


まあ本作は地元が舞台でもありますからえこひいき込みの大甘評価も盛り込んではいるものの、それを抜きにしても多分感動できた作品だったとは思う。過酷な境遇に陥っても互いを思い、信じ支え合う夫と妻と娘達の家族愛にも涙を誘い、個人的には以前鑑賞した『舟を編む』や『県庁おもてなし課』のように、自分の仕事に対して並々ならぬ『執念』と『決意』、そして『覚悟』を持ったイチ仕事人の姿を赤裸々に描いた作品でもあったので、迷走しながらも答えを追い求めたその揺ぎ無い信念にも改めて尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。
神の領域。津軽魂。人間固有の性能。
是非このリンゴを食べてみたい。 しかしそれはどうやら叶わない、幻の「奇跡のリンゴ」らしい。
□作品オフィシャルサイト 「奇跡のリンゴ」□監督 中村義洋□脚本 中村義洋、吉田智子□原作 石川拓治□キャスト 阿部サダヲ、菅野美穂、池内博之、笹野高史、伊武雅刀、ベン...
『ポテチ』の中村義洋がメガホンを取り、『舞妓 Haaaan!!!』の阿部サダヲと『ジーン・ワルツ』の菅野美穂が夫婦を演じた感動作。石川拓治原作のノンフィクションを基に、夢物語だとい
ここへたどりつくまでに11年もかかった。 気の遠くなるような年月と失敗を重ねて りんごの花がやっと咲いたとき 見ている誰もがあ〜よかったよかったと ホントに顔がほころんでしま
「奇跡のリンゴ」は何でも試さないと納得しない農家の男が妻のために無農薬でのリンゴの収穫を目指すが失敗続きで畑すら手放す事となりながらも10年の歳月を経て無農薬でリンゴの ...
13-49.奇跡のリンゴ■配給:東宝■製作年、国:2013年、日本■上映時間:129分■料金:1,000円■観賞日:6月14日、TOHOシネマズ渋谷(渋谷) □監督:中村義洋◆阿部サダヲ◆菅野美穂◆山崎努◆笹野高史◆池内博之◆本多博太郎◆原田美枝子◆伊武雅刀【ストーリー&感想...

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こんにちは

お邪魔が遅くなりました。
あまり度々ドラマなどにならない地元が舞台になった作品に、
贔屓目があるのは当たり前だと思いますが、
これはそれを差し引いて余りある佳い作品だと思いました。
何も知らない者にも木村さんという方のお人柄や家族関係もわかりやすく温かい視点で作られていて、
おそらく、ここに描かれたのは実際の何百分の一でしかないご苦労なのだろうと想像できました。
そして到達した答えが、およそ常識的とは思えないもので、
そこに一番驚いたかもしれません。
阿部さんはじめ、適材適所のキャストも素晴らしいし、
観てよかったと思える作品に出会えて、素直に嬉しかったです。

異端

>悠雅さん♪

青森が舞台の作品も過去には幾つかありましたけど、少なくとも近年の作品でここまで感動できたのは無くて、故に今回は自分もかなり激甘評価になっちゃったかもしれません^^;

でも木村さんが見出した答えは確かに他のリンゴ農家にしてみれば異端で常識外ですよね。リンゴ農家の人達が何十年にも渡って行ってきた手法と正反対な事をしてるわけですから^^;でも農薬や有機肥料は過剰な栄養を与えることに等しいようで、ああやってあまり人の手を加えない事がリンゴの木本来の強さを取り戻す手段の1つなんだとか?それを独学で見出したのだから凄いですよねホント。

泣きます

メビウスさん☆
もう音楽なんて、久石譲さんの時点で反則ですよね。条件反射的に号泣してしまいます。
とにかく明らかに結末は分かっているのに、充分に感動的な内容は、それが土を食べるところまで真実というのが、木村さんの人生そのものが感動的だということを教えてくれますよね。
津軽弁、地元の方が聞いても良かったのですね。
とにかく泣きました。

No title

メビウスさん、おはようございます^^
TB&コメント、ありがとうございましたm(__)m
最近のTVでご本人が出られていて、
苦労の跡は皺に表れているように感じましたが、
いつも天真爛漫で主演の阿部ちゃんに雰囲気が似ていて、
ここがある意味ポイント(キャスティング)だったかなと
思いました。あの奇跡の無農薬りんご、一度食べてみたいと
思いますが、予約が20年待ちだとはビックリです(笑)
地元のレストランでも食べれるようですね^^

20年も待てません--;

>まだ~むさん♪

地元作品に久石さんの音楽が加わるってだけでも感動的で、青森県のシンボル・岩木山をバックにしながらの雄大な楽曲などは、自分も聴いてるだけでホントジーンとなっちゃいました^^;
木村さんが『答え』を見つけるきっかけになったあの木と土は、原作を見る限りだと木村さんの実体験だそうです。木がリンゴの木に見えて光っていたと言うらしく、やはり極限まで追い込まれた人間は常人には見えない『何か』が見えるようになるのかもしれませんね?(笑

>cyazさん♪

映画が公開されたと同時に、最近木村さんの事もテレビなどで度々目にするようになりましたよね。最近そのテレビの『ぴったんこカンカン』で木村さんが出ていたので見たのですが、20年待ちには自分もびっくり。あと木村さんのリンゴが食べれるレストランが凄い身近にあった事にもまたびっくり^^;今度時間を見つけて食べに行きたいですねぇw

そいえば阿部サダヲさんは個人的に木村さんと笑い顔が凄く似てる感じがしますね。上のチラシと原作小説表紙の木村さんの笑い顔と照らし合わせるとかなりそっくりです♪

こんにちは~。

お返事遅くなりました~~m(_ _)m

ものすごく苦労したりんごはいまやすごいプレミアものなんですね。
でもそれくらい報われてもいいよね~。
本人の諦めない気持ちもすごかったけど
なにより家族愛に感動いたしました・・・。

「謝罪の神様」だったかな?次の映画。
阿部サダヲの演技の幅広さみせてもらいましょ~。again.
(^O^)

下手すりゃ「プロジェクトX」
いや大真面目な話なんだけども、
映画としてみれる楽しさがあったのは
ひとえに俳優さんたちの演技だったり音楽だったりなんでしょうね。
結果がわかっていても感動できるってのは
やっぱりいい作品だったんだなと思います。
・・・中村監督ってこんな映画も撮るんだって。(爆)
個人的には監督目当てで見た作品だったもんで。(^^;

広く普及して欲しい

>Agehaさん♪

木村さんの無農薬リンゴは甘いのも然る事ながらなかなか腐らないと言うのも特徴的らしく、故に市場にも出回らないプレミアリンゴみたいなので凄いですよね。自分達のような一般人もなかなか手に入れることは出来ないと思います。でも木村さん曰く、色んな講演などを行って無農薬栽培の素晴らしさを広めているのは一般の人にも気軽に手に取ってもらいたいという思いもあるからだとか?本編も観る限りでは無農薬栽培は凄く苦労もしますけど、これが普及すれば農薬前提のリンゴ栽培も解消されるわけですからねぇ^^;それが実現して初めて木村さんの行った事も報われるような気がします。

・・でも確かに『ゴールデンスランバー』や『バチスタ』といった作品を手掛けてきた中村監督にしては、今回の作品は意外性もありますよね(ちょっと失礼ですけどw)
監督も木村さんの信念とか、どこかに惹かれたのかもしれませんね?

奇跡って

奇跡って実は身近なところでも起きてるんじゃないか??って思える話ですよね… しかし、木村さんのリンゴ、予約で20~30年待ちらしいですよ(苦笑)

No title

>357パイソンさん♪

原作小説の方だと木村さんは奇跡でもなんでもなく、ただ単にリンゴの木が頑張ってくれたと言ってますからかなり謙虚なんですよねぇ。

そして2~30年待ちの木村さんのリンゴを生きてる内に手に取る事が出来れば、それもまた奇跡w

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