007 スペクター

【監督】サム・メンデス
【出演】ダニエル・クレイグ/クリストフ・ヴァルツ/レア・セドゥ/レイフ・ファインズ/モニカ・ベルッチ/ベン・ウィショー/ナオミ・ハリス/デビッド・バウティスタ/アンドリュー・スコット/他
【公開日】2015年12月4日
【製作】イギリス、アメリカ
【ストーリー】
少年時代を過ごした ”スカイフォール” で焼け残った写真を受け取ったボンド 。その写真に隠された謎に迫るべく、Mの制止を振り切り単独でメキシコ、ローマへと赴く。そこでボンドは殺害された悪名高い犯罪者の元妻であるルチア・スキアラと出逢い、悪の組織スペクターの存在をつきとめる。その頃、ロンドンでは国家安全保障局の新しいトップ、マックス・デンビがボンドの行動に疑問を抱き、Mが率いるMI6の存在意義を問い始めていた。ボンドは秘かにマネーペニーやQの協力を得つつ、スペクター解明のてがかりとなるかもしれないボンドの旧敵、Mr. ホワイトの娘マドレーヌ・スワンを追う。
死闘を繰り広げながらスペクターの核心部分へと迫る中、ボンドは追い求めてきた敵と自分自身の恐るべき関係を知ることになる・・・。
そう言えば今年は偶然にもトム・クルーズのMIシリーズだけではなく、他にも単独の良作スパイ作品がポコポコと出ていた気がしないでもないんですが、そんな2015年最後のスパイムービーの締め括りとして007最新作が年末間近に公開されるというのはどこか上手い配慮のように思えてしまいますねw
そして今回も派手なアクションと濃密なストーリーがきちんと両立していて、さすがはスパイ作品の真打といった所っ。とても見応えがあったと思います♪
ダニエル・クレイグになってからの007の特徴と言えば従来の一話完結型みたいなスタイルとは少し異なり、お話が連続してもいたのでどこか壮大な一つの物語にも見えてしまうのですけど、今回はその物語にも一応の決着が付くような内容になっていますね。一作目からその存在をちらつかせ、本作では遂にタイトルとして大々的に出てきたスペクターという犯罪組織が登場し、長く続いてきたボンドの戦いもようやく終わるのかと思いながらも観てたら、両者の追い詰め追い込まれな攻防とかはやはりずっとワクワクが止まらなかった感じでもあったかなと。
・・まあと言いましても、007シリーズをピアース・ブロスナンからスタートしたにわかな自分にとって実はそのスペクターは初耳であり、それ以前のシリーズにも出ていた組織だと知ったのは本タイトルを知って大分経ってからの事(汗)。それと今回の作品では過去のシリーズに肖ったシーンも何かと多いと聞き及んでいるんですけども、スペクターの登場もその内の一つなんでしょうね。自分が知っているオマージュ・・と言えばいいのかはちょっと疑問ですが、せいぜいボンドが銃口に向けて振り向くお馴染みのシーンくらいなもので、そう言った点も踏まえれば本作は楽しめるべき部分を大分取りこぼしているんじゃないかとも思えますね(汗
ただモチロンオマージュ云々知らなくても凄い楽しめたのも然りで、冒頭のパレードでの激しい追走劇にはじまり、カーチェイスはアストン・マーティンとジャガーによる高級車対決。雪山のバトルも圧巻だったし、スペクターを率いるボス・オーベルハウザーとボンドの因縁なんかも二人の幼少期の関係を垣間見ると、血は繋がらず他人なれどどこか兄弟対決の様を呈しており、幾度となく対面する場面などもかなり胸が熱くなるものばかりだった。
オーベルハウザーを演じていたクリストフ・ヴァルツの存在感も抜群でして、ダニエル・クレイグ版ボンドのラスボス・・かは分かりませんが、それでも過去三作の悪役とはまた違った大物感が滲み出ていたような気もする。表面上は紳士ぶっていたけど不意に見せる冷酷な面がとてもゾクッとさせるものがあり、「すげー最低なヤツだっ!」と思いつつも組織のトップに君臨する絶対悪的な魅力も光っていたので、どこかあんまり嫌いにはなれなかった^^;
過去作品のスペクターの事は分かりませんけども、組織体系とかオーベルハウザーの雰囲気とかは色々似てたんでしょうかねぇ?やっぱりスカイフォールを予習するよりはスペクターが出てた過去作品を予習した方が面白かったかもしれませんね?
・・自身の過去ともきちんと向き合い、最愛の女性の無念も組織撲滅という形で一応は晴らし、そして敬愛する上司の最後の任務も全うしてと、終わってみれば諸々終止を打った事で後腐れの殆どないスカッ!とした〆にも見えた本作。なもんですから、ダニエル・クレイグ版ボンドの総決算と言っても差し支えないかもしれませんね。
まああと一作だけやるとかやらないとかの噂も聞いてはいますけど、個人的にはこれ以上ないくらいのフィナーレにも見えてしまったのでもう満足っちゃ満足ですね。いやはや、結果的に四作全てハズレがありませんでしたよー(もう終わる前提w)。